昨日の記事 「新型コロナ通信(40)- いよいよこれからが本番(2回目の冬超え)です(3)」 の続きです。

 

昨日のマスク、手洗い、うがいといった個人レベルで対応する予防について書いてみましたが、昨日に引き続き今回は、昔から言われてきたお家単位で実施する予防策について説明致します。

 

6.2 お家単位 - お家の出入り、部屋の換気、清掃

 

そしてお家単位、各ご家庭でする衛生予防対策の行動規範・行動基準としては、「お家の出入り」と「お部屋の換気」、そして 「清掃」 があります。

 

(4) お家の出入り

 

幼少時の記憶

 

小さい時分は、外から帰ってくるとすぐにテレビを見たくなったり、お腹が空いているのでご飯を食べたくなったりするものですが、泥だらけの格好で家に上がられたら、お母さんは溜まったものではありません。

まずは、手洗いにうがい。服が汚れていると脱がされて、酷い場合は風呂場で洗われます。俺は土付きのゴボウか、泥ネギかっ(苦笑)

 

しかし玄関は、社会との接点であり、また家への入り口であります。

靴についた土汚れも、風に舞う花粉も、服に染み込んだ煙草の臭いも、窓から入ってくるものを除けば、運んでくるのは人間です。

 

日本の家屋

 

お家に帰ったら、まず手洗いとうがい。そして出来れば上着を脱いで入る。昔であれば、まず帽子やコート、手袋やマフラー等を脱ぎ、お家に入るのが礼儀。一番かしこまったスタイルですが、例え着たままで玄関に入れて貰えたにせよ、本来はお宅にお邪魔するしないに拘わらず、これらは全て脱ぐのが基本です。

昔ながらの日本家屋の様式では、家にあがる。上り框(あがりかまち)に上る際には靴を抜く。通常、靴は脱がず制服や作業服を着た出入りの人は玄関ではなく勝手口に行く。

なかなか厄介な「押し売り」でさえも、靴は脱がず上り框に居座るのが一般的でした。江戸時代であれば、宿場町の宿などに泊まる際には、上り框で足を洗います。

そして脱いだコートや帽子は、玄関周りの衣紋掛け(えもんかけ)へ。今で言う帽子ハンガーやコートハンガーのところに掛けるのが基本です。

 

今は家のスペースの問題など住宅事情もあり、廃れて部分もあるかも知れません、靴を脱ぐ脱がないという生活文化様式の違いと程度差を除けば、「汚れているものは家の中には持ち込みたくない」という基本は、欧米でも同じです。

 

家として行う衛生管理

 

そして家の中にウイルスを持ち込まないよう厳格に管理したいのであれば、外から帰ったら、出来るだけ家の玄関に近いところで、コートや帽子、手袋やマフラーといった外出着を脱いで、家の中に持ち込まない。

そして手洗いとうがいはもちろんのこと、顔を洗ったり、一番良いのは、そこで完全に脱衣し、シャワーを浴びて、髪の毛や皮膚に付着している汚れを洗い流すことです。

 

【補足】 髪の毛は汚いもの

 

皆さんの中には、自分は煙草を吸わないのに、自分の髪の毛や服が煙草臭くなって嫌な思いをしたことはありませんか?

煙草の煙の粒子は直径1μm以下。0.1~1.0μmと言われています。電子顕微鏡で観察したもので、おおよそ0.5μm。しかし臭いの元となる成分は有機ガスだったりしますので、これよりももっと細かいレベルの世界の話になります。

一方でコロナウイルスは100nmで0.1μmですから、煙草の煙は、粒子的にはコロナウイルスとほぼ同じか少し大きいくらいの世界ということになります。

では何故煙草の煙が髪の毛や服に付着するのか。それは静電気の力です。

大まかに言うと、髪の毛やウールといった素材はプラスに帯電しやすく、空中に漂うホコリや細菌・ウイルスといった浮遊物を引き付けやすいためです。

 

つまりは外から家に帰ってきた人の髪の毛には、花粉はもとより、PM2.5、そして煙草の煙に加えて細菌やウイルスも付着している。特にキューティクルの段差の部分には、こういったミクロの粒子が引っ掛かりやすいと言われています。

 

一時期「マスクは感染予防に効果ない」論争のときに、医者は顔やマスクに付着するウイルスについて四の五のと言っておりましたが、まあ咳の直撃を受ければ顔面に付着することもあるでしょう。しかし顔の表面にそれだけ付着しているのであれば、ウイルスはそれ以外の部分。幾ら見栄えがサラサラしていようと、粉体の振舞い的にも静電気的にも、ウイルスを含むエアロゾルの振舞いを考えれば、髪の毛や服にはもっとたくさん付着していることになります。

 

特に空気が乾燥する冬場は、エアロゾルは乾燥して空気中に舞いやすくなるばかりでなく、静電気も発生しやすくなります。

小麦粉なり片栗粉を髪の毛にまぶした自分を是非想像してみて下さい。

 

食事

 

神経質に、食材のビニール包装をアルコール消毒しているお母さん。そのお気持ちは分からなくもありませんが、生で食べる食材は希釈した「食器洗い用洗剤」を添加して洗い、流水で洗い流して下さい。「食材を洗剤で洗うの?バカなの?」と思われるかも知れませんが、洗剤の裏の「ご使用書き」あるいは「注意書き」を良く読まれて下さい。

そこには「用途」として、食器・調理器具以外にも、野菜・果物の表記があるはずです。

例え生食に供する野菜や果物にウイルスが付着していたとしても、界面活性剤を含む洗剤によって簡単に洗い流すことが出来ます。

但し重要なことは、しっかりと流水で洗浄するということ。何故ならば、洗剤も石鹸も「油分を含む汚れを落とす」ものであって、殺菌するためのものではないからです。

以上は生食に絡む話。そして加熱する食材については、通常レベルの食材の加熱でコロナウイルスは簡単に死滅(不活化)します。

アルコールでは死なず、次亜塩素酸水や塩素系漂白剤でないと殺菌できない「ノロウイルス」よりはずっと取り扱いが簡単なのです。

それよりも過剰に神経質にならないこと。そして美味しいもの、滋養のあるものを作って皆さんの基礎体力を充実することこそ重要なこと。

 

そしてそこまで必死になって、神経質になりながらアルコールで食材の包装フィルムを消毒しながらも、自分の髪の毛に付着したウイルスが食材の上にポロポロ・・・みたいな「笑い話」にならぬよう。

何故小学校のときの給食当番は、頭の上に帽子を被ったり、三角巾を巻いたりしていたのか。もう一度そのときのことを振り返ってみて、衛生に十分心掛けて下さい。(笑)

 

 

(つづく)