エレン・G・ホワイトの著書「族長と預言」によると第7章「大洪水」では、レバノンの杉の木がいかに優れたものであったかを記しています。

 

「ノアの時代には、アダムの罪とカインの殺人が招いた二重の呪いが地球を覆っていた。しかし、自然界の姿を大きく変えることはなかった。場所によっては、明らかな自然破壊が見られたものの、地球にはまだ神の意志により、その美しい贈り物に満ちた。丘には、壮大な樹々が生え、果実を実らせる神聖な枝を支えていた。広大な庭園のような平野は、草木に覆われ、何千もの花々から甘い香りが漂っていた。地球の果物は多彩に満ち、殆ど無限状態に実った。樹々の大きさ、美しさ、そしてその完璧なプロポーションは、現在とは全く比較にならないものであった。その木はきめ細かく、材質はかたく、石を彷彿させ、耐久性に優れた。金、銀、そして宝石は豊富に存在した。」

 

神様が世界を創造された当初、それはそれは美しく豊かで繁栄に満ちた最高の世界でした。人間も1000歳近くまで生きられる優れた存在だったのです。

 

創1:31「神はお造りになったすべてのものを見られた。見よ。それは非常に良かった。夕があり、朝があった。第六日。」

 

創2:10-12「一つの川が、この園を潤すため、エデンから出ており、そこから分かれて、四つの源となっていた。第一のものの名はピション。それはハビラの全土を巡って流れる。そこには金があった。その地の金は、良質で、また、そこにはベドラハとしまめのうもあった。」

 

黄泉に下ったレバノンの杉の木

 

巨人ネフィリムに切り倒されたレバノンの杉の木は、その後、どうなったでしょうか?現在、こずえが雲の中にまでそびえ立つ巨木は世界どこにも見当たりませんので、巨人ネフィリムは一本残らず切り倒したと言うことになりますが、聖書には、その後の行方を記した箇所があります。

 

エゼキエル31:3-17「見よ。アッシリヤはレバノンの杉。美しい枝、茂った木陰、そのたけは高く、そのこずえは雲の中にある。水がそれを育て、地下水がこれを高くした。川々は、その植わっている地の回りを流れ、その流れを野のすべての木に送った。それで、そのたけは、野のすべての木よりも高くそびえ、その送り出す豊かな水によって、その小枝は茂り、その大枝は伸びた。その小枝には空のあらゆる鳥が巣を作り、大枝の下では野のすべての獣が子を産み、その木陰には多くの国々がみな住んだ。それは大きくなり、枝も伸びて美しかった。その根を豊かな水におろしていたからだ。神の園の杉の木も、これとは比べ物にならない。もみの木も、この小枝とさえ比べられない。すずかけの木も、この大枝のようではなく、神の園にあるどの木も、その美しさにはかなわない。わたしが、その枝を茂らせ、美しく仕立てたので、神の園にあるエデンのすべての木々は、これをうらやんだ。それゆえ、神である主はこう仰せられる。そのたけが高くなり、そのこずえが雲の中にそびえ、その心がおごり高ぶったから、わたしは、これを諸国の民のうちの力ある者(巨人ネフィリム)の手に渡した。彼(巨人ネフィリム)はこれをひどく罰し、わたしも、その悪行に応じてこれを追い出した。こうして、他国人、最も横暴な異邦の民(巨人ネフィリム)がこれを切り倒し、山々の上にこれを捨てた。その枝はすべての谷間に落ち、その大枝はこの国のすべての谷川で砕かれた。この国のすべての民は、その木陰から出て行き、これを振り捨てた。その倒れ落ちた所に、空のあらゆる鳥が住み、その大枝のそばに、野のあらゆる獣がいるようになる。このことは、水のほとりのどんな木も、そのたけが高くならないためであり、そのこずえが雲の中にそびえないようにするためであり、すべて、水に潤う木が高ぶってそびえ立たないためである。これらはみな、死ぬべき人間と、穴に下る者たちとともに、地下の国、死に渡された。神である主はこう仰せられる。それがよみに下る日に、わたしはこれをおおって深淵を喪に服させ、川をせきとめて、豊かな水をかわかした。わたしがこれのためにレバノンを憂いに沈ませたので、野のすべての木も、これのためにしおれた。わたしがこれを穴に下る者たちとともによみに下らせたとき、わたしは諸国の民をその落ちる音で震えさせた。エデンのすべての木、レバノンのえり抜きの良い木、すべての水に潤う木は、地下の国で慰められた。それらもまた、剣で刺し殺された者や、これを助けた者、諸国の民の間にあって、その陰に住んだ者たちとともに、よみに下った。」

 

なんと!地上では、巨人ネフィリムがこれを切り倒し、山々の上にこれを捨てた結果、その枝はすべての谷間に落ち、大枝はこの国のすべての谷川で砕かれたと言います。「砕かれた」という表現は、「川の水に撃たれて腐り、朽ち果てた」と言う意味でしょうが、衝撃は命の息あるもの、ないもの、すべては、神様の管理にあり、レバノンの杉の木は、その後、死者達の下る「地下の国」、黄泉(よみ)に下ったと言います。黄泉は地球の中心にあり、そこに横たえられた「地下の国」は、人間の形をして仰向けに横たえられています。

 

箴15:24「悟りのある者はいのちの道を上って行く。これは下にあるよみを離れるためだ。」