「さて、兄弟たち。御霊の賜物についてですが、私はあなたがたに、ぜひ次のことを知っていていただきたいのです。」 (第一コリント十二章一節)

 

これは控えめな新改訳聖書ですが、言語ではもっと強い表現です。

「御霊の賜物について無知であってはならない!」

 

という感じです。このような手紙がコリント教会に送られた事情を説明します。

当時、人口五十万の大都会コリントにはアクロ・コリントの頂上にすえられた女神・アフロディトの偶像神殿があり、そこに仕える千人の神殿売春婦が宗教行為の名の下で姦淫をなし、街を汚していました。

 

そのため、当時「不品行を行うこと」の代名詞が「コリント人のように振舞う」と言われたほどでした。そこに遣わされた使徒パウロの一年半の開拓伝道(使徒十八章一~十一節)で神への信仰を持ち、罪から救われた信仰歴わずか一年半のクリスチャンばかりが集う急成長の教会がコリント教会で、一説では一万人、最盛期には十万人もいたとされます。人数こそ、このような急成長の中にありましたが霊性が低く、コリント教会員には潜在的な問題が数多くあったようです。(第一コリント一~十二章参照。)

 

その後、パウロがエペソに移動して三年間留まり、アポロがコリントの後任牧師になった頃、堕落したコリント教会の乱れを正すためにパウロがエペソから書き送ったのが、コリント人への第一の手紙でした。

 

中でもここ十二章では霊的な領域での乱れを正そうと聖霊様の賜物を正しく理解するよう強く勧めています。「御霊の賜物について無知であってはならない!」と。

聖霊様の賜物理解は健全な信仰生活上、非常に重要だからです。

 

ここでパウロは、御霊の現われを秩序正しく体系化して説明しています。

 

「しかし、みなの益となるために、おのおのに御霊の現われが与えられているのです。ある人には御霊によって知恵のことばが与えられ、ほかの人には同じ御霊にかなう知識のことばが与えられ、またある人には同じ御霊による信仰が与えられ、ある人には同一の御霊によって、いやしの賜物が与えられ、ある人には奇蹟を行なう力、ある人には預言、ある人には霊を見分ける力、ある人には異言、ある人には異言を解き明かす力が与えられています。」(第一コリント 十二章七節~十節)

 

紹介された御霊の現われは全部で九つありますが、必ず信仰を持てば、これらのうち一つか二つあるいはそれ以上、複数個与えられます。

次回から九つすべてを説明しますが、人は生まれたときから見聞きし考え、発展できる各種の優れた能力を潜在的に持っています。

ちょうどそのようにイエス様を信じた聖徒も、すでに新生したときから与えられた優れた聖霊様の能力があります。その賜物を早く悟って引き出し、実際的な信仰生活にうまく適用して歩めば、もっと優れて幸福で豊かな人生を歩めます。

【泉パウロ】