アメリカにつくられた最初の日本町


最初につくられた日本人コミュニティーは、1869年にサンフランシスコ近郊に創設された「ワカマツコロニー」と考えられています。戊申戦争に敗れた会津藩出身の一団が、当時ゴールドラッシュに湧いていたサクラメント川周辺を避け、ゴールドヒルという丘陵地帯にむらをつくりました。


一行は絹、茶などの農産物の耕作で生計を立てようとしていたそうです。戦争によって失われた郷土をアメリカでそのまま再興しようとしたのでしょうか。いくら日本に希望を持てなかったとしても、当時の限られた知識でアメリカに郷土を作ろうとい行為には舌を巻かざるを得ません。ものすごいチャレンジ精神です。


興味深いのは、残されている資料に武士の名前がほとんどないことです。この試みに挑戦したのは町人、職人、農民でした。当時支配階級であった武士にとって藩が全てであり、藩・日本国を捨てるという発想を持ち難かったのでしょう。それに比べ、武士によって起こされた戦争で郷土を失った被支配階級の人々は、国境を簡単に越えてしまいました。もちろん一行が直面した苦労は、今の世では想像さえもできないものでしょう。


結局、むらの創設は失敗に終わりました。今は一行に加わった「おけい」さんの墓が残るのみです。入植時の「おけい」さんは数え年17の少女でした。どのような気持ちで一行に加わったのか?どのような経緯で墓が残されたのか?もはや知ることができないことですが、疑問が次から次にわいてきます。