自分のなかでは、ここ2、3年の間に観た邦画のベスト5に入りますね。
「最初の晩餐」「37セカンズ」「朝が来る」
「夕陽のあと」に続くかな。
 
裏社会と刑務所で人生の大半を過ごした主人公三上は出所後に自立を目指すけど、社会の不寛容さもあり、なかなか上手くいきません。
でも三上は人懐っこく、とても人間臭い男で、困っている人を見ると目を反らすことも出来ず、その時ばかりは暴力を正当化してその人を助け出すような人物像が冒頭で描かれていきます。
そのような人生を送ってきた人間にとっての社会での「生き辛さ」と世間からの「優しさ」を見事に表現していますね、この映画は。
しかも所々にユーモアのエッセンスを散りばめて、湿っぽくなりがちなストーリーをそうじゃなくさせているところも絶妙でしたね。
 
あと、これまでの西川フィルムとは少し違う印象を受けたのは、優しい気持ちにさせてくれるとてもホットなシーンを短く、さりげなく入れてあるところでしょうか。
出所してきた夜に保護司の家でご馳走になったすきやきを食べながら涙するシーン、仲野くんとの旅先での風呂でのシーンetc
温かい気持ちにさせてくれるシーンがありましたね~
これらの場面で涙がチラっと出てきました。
 
あとこの映画は何が凄いかって、役者さん全員が演技がかなりのハイレベル!
役所さんの演技はもう、神レベル!脱帽!としか言いようがありません。
そして仲野大賀くん、この先日本を代表するような役者さんになるような気がしてなりません。それくらい難しい立場での役柄を演じきっていましたね。
そして六角精児さん、北村有起哉さん、この二人の脇の固め様は見終わって振り返れば、振り返るほど、なんかお礼を言いたくなるほどでした。主人公に関わってゆくうちに見せる心情の変化というのが、これまた超絶!
あと女優陣もこれまた素晴らしいのです。
安田成美さん、ヤクザもんの元妻へのキャスティングというのがあまりイメージが無いのですが、これまたハマってましたね。
あとキムラ緑子さん、長澤まさみさん、梶芽衣子さん、それぞれが素晴らしかったです。
 
いやぁ、とても深くて、色々な事を考えさせて貰った作品でした。