ドラムスとパーカッションが隠れた貢献者だ．．．マイルスの 「SKETCHES OF SPAIN」

MILES　DAVIS　「SKETCHES　OF　SPAIN」　　　　　　1959-1960

　『スペインをテーマにマイルスとギル・エバンスのリリシズムが聞く者の胸を打つ。
ジャンルを超えて人気の高い必聴アルバム。』

　大昔、初めて聴いた時、所謂４ビートのリズムとは無縁のサウンドは、
「ジャズと言うよりクラシックそのものだ！」と感嘆したものです。
計算され尽くしたギルのオーケストレーションに対し、
マイルスはフリー・フォームでプレイしてるのでしょう。
なんせリハーサルにもあまり出て来なかったといいますから．．．。
そうなると、ますますギルのアレンジがマイルスのポテンシャルを
上手く引き出してる、という言い方もできるでしょうか。

　Ａ－１「Concierto　De　Aranjuez」ももちろん素晴らしいのですが、
元来、ジャズとスパニッシュ系は相性がいいのか、
「アランフェス」のジャズ的な解釈の作品にあまり駄盤がないのも頷けます。

　それよりも圧巻はＢ面の「The　Pan　Piper」～「Saeta」～「Solea」の流れで、
「The　Pan　Piper」でのシンプルなバックのアンサンブルに乗った
哀愁漂うミュート・プレイ、そして映画の１シーンのような
なぜかマーチング・バンドの「Saeta」を経て「Solea」に突入。
躍動感あふれるアンサンブルと完璧とも言えるマイルスのソロは
まさに「スペインの印象」を具現化するにふさわしい「Solea」でした。
この躍動感を担うのはドラムスのジミー・コブと
パーカッションのエルヴィン・ジョーンズだったりして．．．。