よく「無人島へ持って行くアルバム」とかっていう例えがありますが、
「電気も通ってない無人島で、どうやってレコード聴くんだよぉ!」的な
非現実的な発想ではなく、誰もがいづれ訪れる死期に際して
「棺おけに入れて欲しいアルバム」・・・これも棺おけと共に燃やされてしまう、
「あの世に持って行くアルバム」・・・持って行くというだけの満足感でしかなく、
実際、あの世で聴けるわけでなし。
それでは「葬儀で流して欲しいアルバム」とか
「死期が近づいた時に枕元で聴きたいアルバム」とか、いろんなこじつけを考えますが、
ここは素直に「あの世へ持って行くアルバム」ということで...。(笑)
なお、アルバム・タイトルの前の番号は好きな順番とか、優先順位とかは関係なく、
ランダムに載せて行きたいと思います。
前にもどこかで書いたと思うんですが、CSN&Yの中では
C=Y>S>N(ナッシュやスティルスよりもクロスビーが一番好きで、
ヤングと同じくらい好き、という意味)なんですよ。
69年にCS&Nとしてデビュー、ウッド・ストックを経て
70年にはCSN&Y名義で「DEJA VU」「4WAY STREET」を残し
メンバーはソロ・アルバムの制作に入ります。
同年、ヤングは「AFTER THE GOLDRUSH」を発表、
スティルスも「STILLS」でソロ・デビュー。
翌71年にはクロスビーとナッシュが待望のソロ・デビュー。
このクロスビーのデビュー・アルバムにはヤング&ナッシュの他にも、
かつての恋人だったジョニ・ミッチェルやジェファースン・エアプレイや
グレイトフル・デッド、サンタナなどのメンバーらが名を連ねており、
クロスビーのソロ・アルバムというよりは、とりまきを含む共同体の作品、
という印象がありますが、中身はまぎれもなくクロスビーです。
特にA-1「Music Is Love」なんかはヤングの声がデカイので
ヤングの作品のようにも聴こえたりしちゃいますが。(笑)
さてクロスビーの魅力の一つは「Long Time Gone」や「Almost Cut My Hair」
のようなちょっぴりハードな曲なのですが、
もう一つの魅力は「Guinnevere」のような幻想的な曲調でしょう。
このソロ・アルバムには前者タイプのA-2「Cowboy Movie」や
後者タイプのA-3「Tamalpais High」に聴かれるスキャットも
何曲か含まれており、後にも先にもクロスビーを満喫できる唯一の作品だと思います。
一番好きなトラックはA-4「Laughing(嘲笑)」で、
ジェリー・ガルシアのペダル・スティールがいい味を出しています。
そして何と言ってもジョニのコーラスでしょう。
ホント存在感あり過ぎ! ジョニのコーラスものでは
ERIC ANDERSENの「Blue River」と肩を並べるものと思います。
コーラスといえばB-1「What Are Their Names」でのグレイス・スリックも
ジョニに劣らぬほどの存在感を示しています。
B面は「Traction In The Rain」~「Song With No Words」~「Orleans」~
「I'd Swear There Was Somebody Here(人生の誓い)」と幻想的なタイプの曲が続き、
A面の「ごった煮」的な魅力の作品とは対照的な曲が並びます。
特に仏語のアカペラで始まるB-4「Orleans」のハーモニーの美しさは
もはや筆舌に尽くしがたいほどです。
このLPを40年近く聴き続けていますが、どこか「危ない匂い」のする、
始めて聴いて「虜」になってしまった作品です。
ある意味、「常習性」を秘めているようです。(笑)
さて次回の「あの世へ持って行くアルバム」はマーク&アーモンドの「心に・・・・・・」
を予定しています。