『名曲「スペイン」を含むチック・コリアRTFのセカンド・アルバム。』
72年の2月に「かもめのアルバム」をレコーディングし、
同年の9月にはこの2ndアルバムに取り掛かってるんですから、
まさにアイデアが泉の如く湧き溢れてたのでしょう。
同じRTFでも、次作からはギタリストも加え、ロック的なアプローチになっていきます。
「かもめ」があまりにも衝撃的だったためか、
この2ndは、当時はそれほど騒がれなかったような気がしますが、
フローラ・プリムのヴォーカル・パートを拡大したことによって、
よりポップな方向となり、前作以上に幅広くアピールできる素材が揃ってたのですが。
それにしても「Captain Marvel」での疾走感あふれるエレピ、
ヴォーカルとフルートの絡み、そしてスタンリー・クラークのベース・ワーク!
これには驚き!でした。この時代のクロスオーヴァー・シーンのベーシストの中では
スタンリー・クラークはジャコなどよりはもっと好きなベーシストでした。
たしか当時の来日公演では、アクリル製の透明なベースを弾いてましたね。
大学受験から汽車に6時間揺られ、帰ってきたその足で、コンサートへ行きました。
なんと、ワタシの住む町にも来たんですよ。大雪の夜で、客席は五分の入り、ってとこでした。
あまりにも空席が目立つので、主催者側が客席の照明を落としたのでしょう。
ステージから客席が見えないのを不満に思ったチックが、演奏途中に客席に降りて、
「照明を明るくしてくれ」とかなんとか、かけあってたのを覚えていますよ。
さて「スペイン」...この曲のためにこのアルバムを買った若い世代のファンも多いとか。
アランフェスのイントロに続くフルート、フルートじゃなくトランペットだったらどうだっただろう?
て、考えることもあります。ユニゾンの部分の手拍子はライヴ演奏で聴くとかなり耳障りなんですが、
このオリジナル・ヴァージョンにも手拍子入ってるからしょうがないよね。(笑)
今じゃアンコールに無くてはならない存在ですが、年を重ねるに従って
熟成されてるところが素晴らしいです。エレクトリック、アコースティックなど
いろんなヴァージョンがありますが、まさにこの時代に誕生した名曲です。
さて次回の「70’s」はビル・ウィザーズの「メナジェリー」(1977)を予定しています。