『トータル・コンセプトを前面に押し出した、初期の代表作にも挙げられる4作目。
制作過程においてベーシストがグレン・コーニックからジェフリー・ハモンドに
交代するというアクシデントを跳ね返す大ヒットを記録。
イアンの愛妻が書いたとされる「アクアラング」や「蒸気機関車のあえぎ」、
のちにアイアン・メイデンがカヴァーした「クロス・アイド・マリー」など
多くの名曲を生んだ。』
そういえば、タルのフォロワーって見当たりませんよね。
ハード・ロックのようで、フォーキーで、ブルージーで、トラッドぽかったり、
ジャジーで、クラシカルで、プログレッシヴで...。
こういう多面的なアプローチができるバンドって、好きだなぁ...。
1曲目のタイトル・チューンからして、カッコ良すぎ! ハードなリフが続くと思ったら、
急にアコースティックなサウンドにイコライザード・ヴォーカル、
一つの曲の中で、ここまで曲調がコロコロ変わるのって、かなり新鮮でしたよ。
かと思ったら、リコーダーをフィーチャーしたトラッドぽい「Mother Goose」もあり、
どんな曲も唄いわけてしまうイアンは素晴らしい!!
圧巻は「My God」でしょう。静から動へとめまぐるしく展開する曲ですが、
中間のコーラスとフルートの多重録音がもたらすパートは鳥肌モノですよ。
ハードな「Locomotive Breath」で聴ける大胆なフルート・ソロ、
かつてロリー・ギャラガーがピーター・グリーンに「世界一乱暴なマンドリン・プレイヤー」
と誉め言葉を頂戴しましたが、さしずめ「世界一乱暴なフルート奏者」は
まちがいなくこのイアン・アンダースンでしょう。(笑)
アコギとピアノの伴奏の弾き語りと思わせながら、途中一転してハードな展開となる
「Wind Up」、この変わり身の鋭さがタルの大きな魅力でしょう。
ジャケットや起承転結のある楽曲、難解そうな歌詞など、
いたるところに文学的な香りを感じてしまいます。これもまた他のバンドにはない
タルならではのセーリング・ポイントですよ。
さて次回の「70’s」は、ジェーン・バーキンの「マスター・セリエ」を予定しています。