『常にジャズ界の第一線で活躍を続ける、音の魔術師、ギルが
ヴァーヴに残した最高傑作に4つの貴重な未発表曲が収録されました。』
邦題「ギル・エヴァンスの個性と発展+5」、ジャケの絵は何なんでしょう?
人間を表したオブジェかなんか?
初めて聴いた時は、この "静寂感" みたいなものになかなか慣れなくて...。
リズムには無頓着(失礼!)、リズムよりもメロディとハーモニーが先に来る曲作り、
トランペット、サックス、トロンボーンといった管編成に、フレンチホルンやオーボエ、
フルートなんかを使ったのもこのヒト独特の編成でしょうか。
ジミー・クリーヴランドのトロンボーンと、賑やかに叩くエルヴィン・ジョーンズのドラムスの
マイナー・ブルーズともとれる「Las Vegas Tango」、
そして「Flute Song」に導かれた "大ブルーズ大会" の「Hotel Me」の管の渦の中で
響き渡るギルのピアノの旋律が何とも効果的! 管のアンサンブルのアレンジが
ホント、素晴らしいですね。
タイトル通り、彼の「INDIVIDUALISM=個人主義」が伺える作品ですが、
「INDIVIDUALISM」という、ともすればネガティヴなイメージを与えかねないニュアンスを
「個性と発展」と題した邦題もなかなかのモノ。
未発表曲として収録された曲の中でも「Concorde」と「Spoonful」が聴きモノです。
前者はジョン・ルイス、後者はブルーズマン、ウィリー・ディクスン作で、
特に後者はクリームのヴァージョンでロック・ファンにもお馴染み。
ここでのケニー・バレルのギター・ソロと終盤のギルのピアノの両者共、朴訥としたプレイが
好きですねぇ。