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BURT BACHARACH / AT THIS TIME     2005

『「ここにあるのは一対一のラヴ・ソングではない。
荒んだ世界に向けたラヴ・ソングなんだ。」・・・バート・バカラック
20世紀を代表する偉大なソング・ライター、奇蹟のニュー・アルバム!!
ヒップ・ホップ界の大物ドクター・ドレーをはじめ、クリス・ボッティ、
エルヴィス・コステロ、そしてルーファス・ウェインライトなど、多彩な豪華ゲストを迎え、
ドラム・ループなどを取り入れた驚くべき斬新なサウンドと、
バカラック本人が生まれて初めて作詞にチャレンジした、
様々な問題を抱える現代社会を鋭く見つめた衝撃の問題作!!』

 バカラックが曲を作り、ハル・ディヴィッドが詞を書いた65年のヒット曲
「What The World Needs Now Is Love」で、「世界が必要としているのは愛だ」と
歌ってからすでに40年、本アルバムの1曲目「Please Explain」で
「今、世界が必要としているのは愛だ...という歌があった。でもその愛はどこにある?」
と歌いかけています。40年前には「希望」を歌ったのが、今は「失望」というネガティヴな
感情に変わってしまってます。過去ずっと詞は他人に任せていたバカラックがそのような
怒りや新たな希望を自ら詞に置き換え、作られたのが本アルバムです。

 それにしてもドクター・ドレの作ったドラム・ループをベースに新しい音楽像を
築き上げようとしているバカラック、もちろん賛否両論でしょうな。
ただ、もはや「過去のヒト」となりつつあったバカラックが、今どきのヒップホップ系の
ループを使ったという過ちを犯しても、独特のストリングスと管の配し方は「ん~」と
唸らざるを得ません。

 特に長い長いイントロに導かれた「Go Ask Shakepeare」などは、ルーファス・ウェインライト
の参加がもちろん話題になるべきですが、そのヴォーカル・パートがメインではなく、
あくまでも長い長いイントロのインスト・パートがメインであるかのような錯覚さえ受けます。
ルーファスのヴォーカルなんてフェイド・アウトされちゃうんですから。
続く「Dreams」はトランペットにクリス・ポッターをフィーチャーした曲で、
これぞバカラックの本質! と思えてしまう仕上がりです。
このさりげない美しさこそがバカラックの本領であるような気がします。