イメージ 1

SOUTHSIDE JOHNNY WITH LABAMBA'S BIG BAND 
      「GRAPEFRUIT MOON / THE SONGS OF TOM WAITS」     2005~2006

『ジャージー・ロックのゴッドファーザー、サウスサイド・ジョニーが
彼の友人であり、尊敬するソングライターであるトム・ウェイツの作品を
ビッグ・バンドで歌いたい、という長年の夢を実現させた意欲作。
元々ジャズとの相性が良いトム・ウェイツの作品ですが、
ここではビッグ・バンド・スタイルのジャズ・アレンジにぴったりハマッてます。
バックを勤めるのはアズベリー・ジュークスのメンバーでもある
リッチー・ローゼンバーグ率いるラ・バンバ・ビッグ・バンド。
「ウォーク・アウェイ」ではトム・ウェイツ本人も参加し
サウスサイド・ジョニーとのゴキゲンな掛け合いを聴かせてくれます。』

 トム・ウェイツのソング・ブックといえば、新しいところでは女優スカーレット・ヨハンスン、
そしてジョン・ハモンドやホリー・コールなどのモノがあります。
それだけ丸ごとカヴァーされるに値する魅力があるのでしょう。

 このサウスサイド・ジョニー、ロックンローラーという印象しかなかったのですが、
ここではジャジーなビッグ・バンドをバックにジャジーに唄い上げています。
選曲も70年代のアサイラムから80年代のアイランド時代、そして21世紀の作品まで
多岐にわたってチョイスされており、元々ジャズ・アレンジと相性のいいトムの楽曲が
ピタッとハマッてます。

 英文クレディットを見ると「Thanks」の欄に
「Big ups to Jon Bon Jovi for his continued and much needed support.」
とあります。一部のテイクがSanctuary Sound , New Jerseyでのレコーディングで、
サウスサイド・ジョニーと同郷(ニュージャージー)のジョン・ボン・ジョヴィの所有する
スタジオのようです。そう言えば、ジョン・ボン・ジョヴィやブルース・スプリングスティーン
なんかもニュージャージー出身でしたっけ。

 さて、全編ビッグ・バンドによるジャジーなアレンジ。
一時期のジェフ・マルダーみたいな雰囲気で、なかなかよろしい!
アサイラム時代のトムの曲はジャズ・アレンジにぴったりはまるのですが、
アイランド以降の曲もうまくアレンジされてます。
トム・ウェイツ自身がヴォーカルで参加した「Walk Away」での二人の掛け合いは
たいへん素晴らしく、サッチモとジェフ・マルダーが共演してるようです。(笑)

 しかし、このようなジャズ・スタイルはサウスサイド・ジョニーにとっても初めての
企画であろうし、彼が尊敬するトム・ウェイツのカヴァーを、あえて自分のスタイルでなく、
このようなビッグ・バンド・スタイルにしてしまったのは大正解だと思いますよ。
トムの曲の本質を知り尽くしているから、素材の良さを活かすことができたのでしょう。