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SCARLETT JOHANSSON 「ANYWHERE I LAY MY HEAD」     2008

 『"ディープ" そして "アート" また聴きたくなる。
聴き込むほどに味わい深くなる・・・忘れられない作品。
トム・ウェイツの楽曲に幾重もの独自のカラーを重ね、
シンプルでありながら深遠なサウンドプロダクションで創り上げられた、
スカーレット・ヨハンソンが音楽と真摯に向き合って完成させたファースト・アルバム。』

 トム・ウェイツの楽曲でアルバムを丸々構成したのは、過去にも
ホリー・コールの「TEMPTATION」や、ジョン・ハモンドの「WICKED GRIN」などがありました。
さて、今回、トム・ウェイツ集を作ってくれたスカーレット・ヨハンスンという女性、
弱冠23歳、女優としていくつかの映画にも主演しているようですが、ワタシは思い出せません。
女優スカーレット・ヨハンスンのデビュー・アルバムということになります。

 なぜトム・ウェイツを取り上げたのか?(オリジナル一曲を除き、すべてトムの曲)
ディヴィッド・ボウイが2曲でヴォーカル参加していますが、どのようないきさつだったのか?
そもそも女優なのにCDを制作しようと思ったきっかけは何なのか?
などなど、興味は尽きませんが、まず、聴いてみることにしましょう。

 女優という先入観があるためか、選曲やサウンド、唄い方に、どこかシネマティックな印象を
受けてしまいます。特に「Falling Down」などは、バックにバンジョーやヴィブラフォンなどが
登場し、スカーレットとボウイのヴォーカルとのミスマッチが逆に面白い展開となります。

 また、トムの代表曲である「I Wish I Was In New Orleans」を、オルゴールだけを伴奏に
唄ってます。オルゴールもメンバーが紙切れにパンチングしたものを使ってるそうで、
トムのピアノ弾き語りも美しかったですが、このオルゴールを使ったスカーレット・ヴァージョンも
なかなかアイデア物ですよ。

さて、シンガーとしてのスカーレット、唄がうまいわけでもなく、どちらかというと抑揚のない
唄い方ですが、彼女の低音の味わいと、歌詞をはっきり発音しているところが特徴です。
バックのバンドの楽器の使い方に導かれて、ヴォーカルも短調に聴こえないところが面白いです。

 タイトル曲「Anywhere I Lay My Head」は、その後に「I'm Going To Call My Home」
という文句が続き、「落ち着けるところ、すなわち、そこが俺の家」というニュアンスで、
落ちぶれてしまった男の厭世感みたいなものを唄ったものですが、トムのオリジナルはかなり
重々しいものだったのですが、ここでのスカーレットの解釈はパーカッションやオルガンの音も
手伝って、楽しげな印象を受けます。

 プロデューサーのディヴィッド・シテック(サイテック?)というヒト、TV ON THE RADIOという
新進バンドのプロデューサーらしいのですが(このあたりは良く知りません)、なかなか面白い音作り
をするヒトで、ちょっと注目!ですね。

 総じて、女優スカーレットのファンは "買い"でしょう。(ワタシはファンではありません)
逆にトムのファンは "ガッカリ"かも。(ワタシはトムのファンですが、けっこう楽しめました。)