イタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィとのデュオで
亡くなる2ヶ月ほど前の伊録音。レコーディング・データを見ると、
1988年2月29日となってますので、閏年だったんですね。
A-1「My Old Flame」とA-2「The Thrill Is Gone」は
ピアノとチェットのヴォーカルのみのデュオで、特に「The Thrill Is Gone」
はマイナーのメロディにチェットのファジーなヴォーカル、この暗さは
このバラード集でもいような光を放っています。
またA-3「Here's That Rainy Day」の哀愁を帯びたトランペットは
弱々しいから出せる音なのでしょう。それが痛々しくて涙を誘わずにはいられません。
ヴォーカルのみの曲も含め、全編ヴォーカルに比重を置いた作品で、
B-2「But Beautiful」でのトランペットを聴くと、音を探りながら吹いている、
という感じで、いかにもフリー・ハンドだけどもそれほど自由さがない痛々しさ
が表れているサウンドが印象的です。これがスタジオ録音としては最後の記録でしょう。
ボートラを含めて、一度はCD化されたようですが、もちろん廃盤です。
このアナログ盤も見かけません。(ちょっとは希少盤かな?笑)