前作「THE LADY AND THE UNICORN」では古典音楽になってしまい、もうあのブルージーな音は聴けなくなったのか、と思いましたが、本作で唄もギターもカムバックしてくれました。
アコギ・エレギ・シタールの多重ソロで、曲によってはペンタングルのリズム隊が参加。60年代からの付き合いのドリス・ヘンダースンもヴォーカルで参加してます。A-3「KOKOMO BLUES」ではドリスがヴォーカル、ピート・ダイヤーがハーモニカでフィーチャーされた、ジョンお得意のブルーズで、間奏ではワウのかかったエレギもプレイしてます。
B-1「Willy o'Winsbury」、ほとんどのトラッド・ミュージシャンがレパートリーにしているこの曲、短いメロディの繰り返しの単調な曲ですが、ジョンの優しげなヴォーカルにユニゾンでかぶるスー・ドラヘイム(後の奥さんらしい)のフィドルが何とも言えない味を出してます。ペンタングルでのジャッキー・マクシーのヴァージョンと並ぶ好ヴァージョンです。
ロバート・ジョンソンでお馴染みの「Come On In My Kitchen」ではアコギとハーモニカの伴奏で淡々と唄われます。間奏では久々にボトルネック奏法が聴かれます。
これだけブルーズ・スタイルでまとまったアルバムを聴いておくと、ペンタングル以降のモヤモヤも吹っ飛ぶかも...。