前回このブログでサッカーの名門クラブFCバルセロナの前副会長の著書である「ゴールは偶然の産物ではない」のことを取り上げましたが、ふと昔のことを思い出しました。

上記の著書は、とかく感性や人間関係でまわっているのでは、捉えられがちなサッカー業界においても、裏側にある論理的なメカニズムを把握し、経営のセオリーどおりに運営することがチームの勝利にもつながると言うものです。まさに同感、という感じなのです。

昔の事ですが、私は小中高と東京にある、サッカーではそこそこ強い学校に通っていました。この学校は小中高一貫校で、小学校は常に都大会ベスト4には名を連ね、中学も同様。高校は全国大会の常連(最高ベスト4)でした。

そんな環境下で私もサッカーに従事し、小学校ではベスト8、中学ではベスト4、8、高校では選手権出場や関東大会出場など様々な経験を積めたのですが、といっても全国レベルではいわゆる「中の上」レベルで、それこそ一時期日本代表にも選出された広山のいた習志野(千葉県)、中村俊輔のいた桐光学園(神奈川県)等々全国上位の強豪校と当たると苦戦を強いられる、というような感じでした。

そんなパワーバランスは中学校でも同様だったのですが、私が中学3年の時、同じ都内ではあったのですが、外から非常に論理的な視点で技術指導や試合の組立てを行う先生がコーチとしてやってきました。

残念ながら私は1年だけの付き合いだったのですが、それでも大会になるとスカウティングといって、対戦相手のこれまでの戦績や試合運びを分析した情報に基づき、攻撃のパターン、守備時の弱点から果てはPK戦の時のキックの癖と蹴る位置の確率まで様々なデータをインプットしてもらい、たびたびそのおかげで試合の主導権を握ることができました。

その彼は、サッカーの世界でゴールデンエイジ(黄金世代)と呼ばれ、最も技術力が上がると立証されている12歳(中学1年生。実際の幅は平均的には9~12歳。13歳以降はポストゴールデンエイジと呼ばれる)に対して、徹底して地味な基礎練習(体力的なトレーニングではなく、技術的なトレーニング)を繰り返しさせていました。

それまでは、一般的な「走りこみ」を基本とした練習でした。
そして私が中学を卒業してから3年後、彼が中学の監督になってからあっと言う間に全国大会2連覇。以降も優勝したり、ベスト4だったりと常に全国の上位に名を連ねるようになったのです。

ちなみに、この学校は小中高と受験校なので、サッカー推薦では生徒をとれません。客観的に見ても基礎的な運動能力は決して高くないと言えます。ですので、我々が中学の時の世代と基本的に素材は変わらない訳です。
この事が原体験で、サッカーというよりスポーツ全般においても、論理的な組立てに基づいた人材育成、チーム構築をすれば必ず成果となって現れる事を学びました。

翻って今の日本のサッカー界はどうでしょう?
メディアの方々と意見交換する機会も多いのですが、まだまだ論理的な話よりも、感情的な話の方が多いように感じるのは私だけでしょうか。