去年の秋に、ハンドメイドのピアスを売るInstagramアカウントを始めた。毎日夕方に作品の写真をアップして、ハッシュタグをいくつか選んで、投稿ボタンを押す。それの繰り返し。半年たってフォロワーは400人ちょっと。少ないと思う人もいるかもしれないけど、私はけっこう愛着があった。

 

## 「フォロワーが増えた」で終わらせたくなくなった

### 気になり始めたきっかけ

ある日、いつも通りコメントを返しているときに、ふと疑問に思った。「この人たち、どんな人たちなんだろう」。フォロワー数は少しずつ増えている。でも、誰が増えているのか、何に興味を持って私の作品を見てくれているのか、ぜんぜん分かっていなかった。

 

アプリでフォロワー一覧を開いても、新しい順にずらっと顔写真とユーザー名が並んでいるだけ。並び替えも検索もできない。400人なら一人ずつプロフィールを見に行くこともできるけど、それをやろうとしたら途方もなくて、結局最初の20人くらいで挫折した。「この人たちとの関係を、もっと大切にしたい」と思っているのに、相手の顔が見えない状態。それがなんだかもどかしかった。

 

### 知り合いに教えてもらった方法

 

ママ友の集まりでその話をしたら、ハンドメイド仲間の一人が「一覧をエクセルに出せるよ」と教えてくれた。Instagram Follower Exporter という機能があって、フォロワーの情報をまとめてダウンロードできるらしい。彼女は EasyComment をコメント管理に使っていて、その一機能として使っていると言っていた。フォロワー一覧をスプレッドシートに出せる? それなら見てみたい。その夜、さっそく試してみた。

 

## スプレッドシートを開いた瞬間

 

### まず驚いたのは、知らなかった情報の多さ

 

エクスポートが終わって、Googleスプレッドシートで開いた。ユーザー名、フォロワー数、自己紹介文、認証マークの有無。400行ちょっとのデータが、きれいに整列していた。まず思ったのは「自己紹介文、一気に読めるの、こんなに便利だったんだ」ということ。アプリで一人ずつ開いていたときは、自己紹介文なんてほとんど読んでいなかった。でもスプレッドシートだと、一列にずらっと並んでいるから、スクロールするだけで全員の紹介文を流し読みできる。

 

「ピアス作家」「ハンドメイドアクセサリー好き」「伊勢崎在住」「オーガニックコスメブランド運営」。知らなかった。私のフォロワーの中に、同じようにハンドメイドをしている人がこんなにいたなんて。今までコメントでやり取りしていたけど、相手がどんな人か、ちゃんと知ろうとしていなかった自分がいた。

 

### ソートしたら、面白い人が浮かび上がった

 

フォロワー数でソートしてみた。上の方に、フォロワー3000人超えのアカウントが3つ並んだ。ひとつは、陶器のプレートを作っている作家さん。もうひとつは、草木染めのワークショップをやっている人。最後のひとつは、小さな雑貨店のアカウントで、作家物を扱っているお店だった。全部、私の作品の世界観と重なる部分がある。この人たちが私をフォローしてくれていたなんて、アプリのフォロワー一覧を眺めているだけでは絶対に気づかなかった。

 

## 勇気を出してDMを送ってみた

 

### 最初の1通は緊張した

 

陶器のプレートを作っている作家さんに、DMを送ることにした。私のピアスを彼女のプレートに載せて撮影したら綺麗だろうな、と思ったから。「突然のメッセージ失礼します。いつも拝見しています。お皿の上にピアスを置いて撮影したら、すごく好きな感じになりそうで、もしよければお互いの作品を送り合って写真を撮ってみませんか」と、正直に書いた。心臓がバクバクした。スパムみたいに思われたらどうしよう、と思いながら送信ボタンを押した。

 

翌日の朝、返信が来ていた。「実は私も、〇〇さんのピアス、ずっと気になってました」。それを見た瞬間、目が熱くなった。向こうも私のことを知ってくれていた。ただ、お互いに「フォローしているよ」と伝える機会がなかっただけ。この出会いは、スプレッドシートで彼女のアカウントを見つけたからこそ生まれたものだ。

 

### コラボが実現したあとの手応え

 

今、その作家さんとは定期的にメッセージをやり取りしている。先月は、お互いの作品を送り合って、それぞれのフィードで紹介し合った。私のピアスが彼女のプレートに乗っている写真は、私のアカウントでいちばんいいねがついた投稿になった。「陶器とピアス、相性がいいですね」というコメントをもらって、確かに、そうだなと思った。

 

コラボの成果だけじゃない。この経験があってから、フォロワー一人一人が「数字」じゃなくなった。「この人は手作り石鹸を作っている人」「この人は東京でカフェをしている人」みたいに、ちゃんと顔が見えるようになった。コメントを返すときも、相手のことを知っているから、自然と温かい言葉が出てくる。データを見たことがきっかけで、私のSNSの使い方が、少しだけ丁寧になった気がする。