「香港ではインスタントラーメンを出すレストランがあるんだって?」
おそらくテレビか雑誌で仕入れてきた情報なのでしょう。
しかしこの手の話、なかなか自分の思うようには進んでくれません。
「ええ、ありますよ。レストランというより大衆食堂ですけどね」
「そんなの、ウマイのかい?」
「まあウマイというか…。香港の朝食としてはわりと定番なので」
「え、朝に食べるの!?」
「そうですよ。モーニングセットで」
このあたりで相手は「あ、冗談?」という半笑いの顔つきになってきます。
だからこれ以上の説明、たとえば「インスタントラーメンの麺は変更出来るんですよ。出前一丁にすると3~4ドル高くなります」なんて言っても、「またまたぁ、そんなこと言っちゃって~」みたいになるだけ。
似たようなお話をもうひとつ。
「香港ではフカヒレとか食べるの?」
「いやぁメッタに食べませんねー。高いですし」
「エビチリとかは?」
「あーエビは食べますけど、エビチリはどうかなー」
「じゃあ鶏肉のカシューナッツ炒めとかホイコーローみたいなもの?」
「どっちも香港では食べたことないですねー。そもそも香港にあるのかな?」
この段階になると、相手は怪訝な顔をし始めます。
「からかっててんのかコイツ?」みたいな感じになってくるのです。
べつにウソ言ってるわけじゃないんだけどなぁ。
香港のスーパーマーケットには、たいてい寿司売り場のコーナーがあるんだけど、サーモンばっかりだからオレンジ一色だよ。いやホントだってば。
(太之輔)