「美心・翠園」で朝食を終えたら、手荷物検査場へ。
幸い人は少なく、ほとんど待つことはなかったのですが、ここで事件発生!
X線検査装置を通ったお母さんの荷物に何か問題があったようなのです。
お母さんのキャスターバッグは荷物レーンから脇に寄せられました。
「これ、開けて調べるからね」と、身振り手振りで係員のオニーちゃん。
「あらまあ、開けるの?はいはいどうぞ」と、日本語で応答するお母さん。
「どうしたのお母さん。べつにヘンなものなんか入れてないでしょ?」と、やや不安げな太子さん。
「何もないと思うんだけどねぇ」と、お母さん。
バッグのジッパーを開け、中を探るオニーちゃん。
むやみに引っ掻き回すわけではなく、明らかに何か目当てがある様子。
特定の位置を慎重に探っています。
固唾を呑んでそれを見守る私たち一行。
果たしてバッグの中から引っ張り出されたのは、小さな裁縫セット。
どうやら問題の根源は、裁縫セットの中に入っていた小さなハサミ。
「こーいう尖ったハサミはダメなんだよ」みたいことをしきりにお母さんに説明する係員のオニーちゃん。
オニーちゃんの態度に高圧さはなく、むしろ申し訳なさそうな感じです。
そうだよね、まさか高齢の日本人の女性が機内に凶器を持ち込んで何かすると思ってるわけでもないだろうしね。
当のお母さんは「あら、そうなの?」と、さして気にする風でもなく。
「でも成田空港では何も言われなかったのよねぇ」
あ、たしかに。
香港の空港のほうが、よりセキュリティが厳しいってことなのかな?
「こんな小さなハサミごときで」と言いたくなりますが、規則は規則。ちゃんと守らなければなりません。
「これからは気をつけるわね」とお母さん。
さすがに以降は何も起こることはなく、まさしくこれが今回の旅行における「最後の事件」となりました。
(太之輔)