香港最後の夕食。店はどこにするか?
お父さんの希望は「ホテルの近くがいい」。
で、太子さんの出した切り札は「金山海鮮酒家」。
それを聞いたワタクシ太之輔は少々ビックリ。
「え、油麻地まで行くのかよ?まあそんなに遠いわけではないけどさ。でも近所ではないぜ。お父さん、ウンって言うかな?」
「違うわよ。そっちじゃないわよ。佐敦に支店が出来たって前に言ったことあるじゃない」
「あ、そうだっけ?」
「金山海鮮酒家」と聞くと、以前一度行ったことのある「油麻地 吳松街」の店をどうしても思い浮かべてしまう太之輔なのですが、太子さんの言うのはその支店。
「で、佐敦の支店ってどのへんにあるんだ?」
「目の前よ」
私たちが泊っている「プルデンシャル・ホテル」から見て「彌敦道」を挟んで左斜め前にあるのが「莊士倫敦廣場(CHUANGS LONDON PLAZA)」という名のビル。「金山海鮮酒家」は、その中に入っているとか。
あ、そりゃすっげぇ近い。
さっそくお父さんにお伺いを立てたところ、「近くならそこでいい」と言ってくれました。
18時を過ぎたところで行動開始。
ホテルを出て「莊士倫敦廣場」へと向かいます。
「金山海鮮酒家」があるのは七階。
エレベーター・ホールに行くと、そこには赤いロープが張られ、客が勝手に乗ってはいけないような雰囲気。
関係者らしきオジさんがいたので、太子さんが「ガムサン(=金山)!」と告げると、オジさんは「うむ、わかった」とばかりにエレベーターの「↑」のボタンを押し、箱が来たところで「さ、乗れ」と私たちを促します。
ああ、オジさん、こーいう役割なのね。
エレベーター・ガールならぬエレベーター・ボーイ。
いや、ボーイじゃないかオジさんか。
エレベーター・オジさん。
なんだそりゃ。
七階でエレベーターの扉が開くと、「金山海鮮酒家」と書かれたプレートがドーン。
店内には早くも数組の客がいます。
私たちが通されたのは、窓際のけっこういい席。日本人旅行者だからか、あるいは両親を連れていたせい?
まずテーブルに出てきたのは洗杯のセット。
太子さんはさっそく皆の食器や箸を集め、洗杯の儀。
さて、それではオーダーといきましょうか。
ビールは「サンミゲル」。後でもう一本追加して合計二本。
例によって、ほとんど太子さんと太之輔が飲みました。
あ、お母さんもいつもよりは飲んだかな。
お父さんはコップ一杯程度。あまり飲まない、いや「飲めない」のですよ、お父さんは。
ロースト二品。
子豚(上の写真-左)と、ガチョウ(上の写真-右)。
子豚は皮がパリパリ。肉はとても柔らか。ちょっと酸っぱめのマスタードを付けていただきます。
じつはこの旅の前、お母さんは「ヨンキーでガチョウを食べてみたい」と言っていたのです。
スケジュールの都合上、残念ながら今回は実現出来ませんでしたが、こちらのお店にガチョウがあったのは幸い。
ジビエなので、ジャムのような甘酸っぱい柑橘系のソースを付けていただきます。
続いて魚介系二品。
シャコ(上の写真-左)と、白魚の揚げたもの(上の写真-右)。
シャコは丸ごとバリバリ食べるべきなのでしょうが、お父さんとお母さんにはちょっと食べづらかったみたい。
白魚は大好評。日本人でこれが「嫌い」という人、いないんじゃないかな。
お野菜は「ヒユ菜」の炒め物(上の写真-左)。量がタップリです。
サービスで、デザートが出てきました(上の写真-右)。たとえるなら「フワフワの揚げせん」。それに甘い蜜がかけられたもの…のようです。表現が曖昧なのは、甘党でない太之輔は食べていないから。
女性軍も「いまは甘いものはいらない」ということでパス。お父さんが一人でほぼ全部食べました。上の写真の時点で、すでに半分ありません。
ここで「炒麺」を追加発注。
デザートが出てきた後なのでタイミング的には妙な具合になってしまいましたけど、まあいいでしょ。
お母さんは、この醤油系の味付けがされた炒麺が好きなのです。
しかしこの時点に至るまで食べてもらう機会を逸しておりました。
「だから、ぜひここで!」と太子さん。
一方お父さん、横で「さすがにもう食べられない」。
ところがなぜかウエイトレスさんは、お父さんのお皿にのみ炒麺を盛り付けてくれるのです。
こうした「特別待遇」が大好きなお父さん。
「見ろ、お父さんにだけサービスしてくれたぞ!こりゃあ食べないわけにはいかないな!」
「一番年長者だからじゃないの?」と、聞こえないように小声で太子さん。
しかし四人で分けてもこの量には対抗出来ず、すみません、ちょっと残しちゃいました。
以上、全員満腹。ホントにもうムリっす。
メニュー構成も良かったし、「香港で食べたいと思っていたものを、すべて食べた」って感じ。
最後の夜を飾るにふさわしい、とてもいい夕食でした。
食事を終え、一階に下りると、エレベーターの前には行列が出来始めていました。それをさばくエレベーター・オジさん。
そろそろ忙しい時間帯に入ってきたようです。
(太之輔)