SHERLOCK SEASON 2「ベルグレービアの醜聞」の件 | 香港道楽 弐番館

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SHERLOCK、ついに第二シーズンの放映が始まりましたね!
第二シーズンは第一シーズンよりさらに深みが増した感じです。もともと複雑なお話なのに、それに加えマニアックな要素が満載。「まだらのブロンド(The Speckled Blond)」が「まだらの紐(The Speckled Band)」のシャレになってるなんて、言われなければわかんないよ…。そういう小ネタが物語のあちこちにちりばめられているようなのですが、それらすべてを理解することなんて、自分の知識や英語力ではとてもムリ。
そこで、ここではもうちょっと分かりやすい話題をお送りしたいと思います。
テーマは、ネット上で議論になっていた「ベルグレービアの醜聞」における「ラストシーンの解釈」について。
 
アイリーン・アドラーはシャーロックに救出され、「生きている」のか?あるいはラストシーンは一種の妄想表現であり、アイリーン・アドラーは「死んでいる」のか?
 
個人的には前者、つまり「アイリーンは生きている」と考えます。解釈としては、それがごくフツーだと思うのですが。あのシーンがあるからこそ、物語中で何度も出てきた「あはーん」の着信音が活きてくるわけだし。
ただ、「そう思う」というだけでは説得力がないので、もっと具体的に。
 
◆マイクロフトとジョンの会談
物語の最後のほう、サンドウイッチバーでマイクロフトとジョンが会談するシーン。ここにヒントが隠されているように思います。
マイクロフトはジョンに「弟(シャーロック)にアイリーンの資料を渡してくれ」と頼みます。
 
ここで疑問が二つ。
疑問①、なぜマイクロフトはベイカー街の部屋のすぐ前まで訪れておきながら、自らの手でシャーロックに資料を渡すことなく雨降る中ジョンを待っていたのか?タバコを吸っていることからも、相応の時間、あの場所にたたずんでいたものと思われます。
疑問②、なぜアイリーンの資料の中にスマホが入っていたのか?他の資料は書類ばかり。スマホは唐突のように見えます。
以下、自分の考えです。
 
マイクロフトがジョンと会談した目的は二つ。
目的①、「アイリーン・アドラーはすでに死んでいる」とジョンに思い込ませるため。
なぜそう思い込ませる必要があるのかというと、じつはアイリーンは生きているから。
物語中でシャーロックがジョンに「未解決の事件までブログに書くな」と苦言を呈する場面があります。さすがにジョンも、アイリーン事件についてそのものズバリの内容は書かないでしょう。けれど、もし「アイリーンが生きている」とジョンが知れば、ブログから何らかの情報が漏洩する可能性は否定できません。ほのめかすような記述すらマズいはずです。その危険性を払拭しておくために、ジョンに対しては「アイリーン・アドラーは死んだ」ことにしておく必要があったのではないでしょうか。
そもそもマイクロフトの話題展開は少々不自然です。マイクロフトはジョンに対し、まず「アイリーン・アドラーは証人保護プログラムによりアメリカにいる」と伝え、その後「しかし斬首により殺された」と言っています。すでに死んでいるのであれば、証人保護プログラムなんてどうでもいいことのはずです。
アイリーンが死に至るまでの経緯を教えることで、より信憑性を持たせるようとしていたのではないでしょうか。
この会談の際、マイクロフトはジョンのリアクションを伺いつつ、かなり慎重に話を進めているように見えます。
実際ジョンは「また偽装では?」と疑うわけですが、それに対しマイクロフト「私を欺けるとしたら弟だが…」と言い、それを否定します。敢えて「弟」という言葉を自ら口にすることで、ジョンの疑問からシャーロックの関連を断っているように感じるわけです。
そして会談の最後、マイクロフトはおそらく確認のためジョンにこう問います。
「シャーロックに何と言う?」
もちろんシャーロックはこの会談を知っていたと思われます。
 
目的②、シャーロックにアイリーンのスマホを渡すため。
詳細は後述しますが、「カラチでテロ壊滅作戦が行われ、シャーロックはそれに参加した」と考えます。
シャーロックはその成功報酬として、いろいろな意味で思い出の深いアイリーンのスマホを自分に渡すようマイクロフトに要求。しかしスマホは重要な証拠品であるめ、マイクロフトは詳細な分析の後、表向きは廃棄処分ということにして、後日シャーロックの元へ届けることを約束。
ではなぜマイクロフトから直接シャーロックに渡さず、これまたジョンを介在させたのか?
物語の中で、ジョンがハドソン夫人とともにシャーロックの部屋の家捜しをする場面があります。シャーロックはそれに気が付いていました(靴下の順番は変えてないだろうな?と言っている)。もし将来同じようなことが起きれば、シャーロックがアイリーンのスマホを所持していることが、ジョンにバレてしまうかも知れません。
そこでマイクロフトは、アイリーンのスマホがシャーロックの手に渡る過程にジョンを絡ませました。これでもう、シャーロックがアイリーンのスマホを所持していてもジョンが不審に思うことはありません。
 
 
◆テロ組織壊滅作戦
カラチのテロ組織内部にシャーロックが単身乗り込み、なおかつサーベル一本で敵をやっつけ、アイリーンを救出。これはどう考えても無理があります。そのあたりが「アイリーン死亡説」の論拠の一つでもあるのでしょう。
イギリスとアメリカの共闘により、テロ組織壊滅作戦が展開され、それにシャーロックも招聘されたのでは?と自分は考えます。
アイリーン救出の段階にて作戦は最終盤を迎えており、すでに周辺は英米の部際で包囲されていたのではないでしょうか。つまりシャーロックは単身ではなかったのです。
何年もかけて練られた「ジャンボ機作戦」がテロリスト側へ漏洩したことは、マイクロフト、いや英米政府にとってたいへん大きな痛手だったはず。アイリーンのパスワードを解読したシャーロックは「これでチャラ」と言っていますが、とてもそれで済むとは思えません。
当然、英米政府はこれを挽回する方法を検討したことでしょう。
で、考え出されたのは、テロ組織とのつながりを持つアイリーンを利用した新たなテロ組織壊滅作戦。
英米政府としては、「作戦遂行時におけるアイリーンの生死」など、さほど重要視していなかったはずです。それがマイクロフトからシャーロックへと意図的に伝えられたのではないでしょうか。
「"あの女"が絡むとなれば、シャーロックは協力するだろう」というマイクロフトの目論見、「ジャンボ機作戦」におけるヘマの挽回というシャーロックの気持ち。これだけの材料があるのですから、シャーロックが作戦参加に承諾したとしても不思議ではありません。
シャーロックはカラチで作戦の参加中、かなりの期間ベイカー街を離れていたはずです。そのあたりの説明や描写が物語中になかったのでラストシーンがいささか唐突に感じられてしまうのですが、普段の彼の生活からすれば、一ヶ月かそこら留守にしたところでジョンをはじめとした周辺の人間はさほど不審には思わなかったでしょう。
 
というわけで、まとめますと…。
 
・英米政府の共闘部隊により、カラチでテロ組織壊滅作戦が展開。
・作戦にはアイリーンを利用。
・アイリーンが死の危険にさらされると知り、シャーロックも作戦に参加。
・作戦の最終局面にてシャーロックの手によりアイリーン救出。
・したがってアイリーンは生きている。
 
以上が自分の解釈です。いや、解釈というよりかなり想像の部分が多いかな。
てなわけで、「ベルグレービアの醜聞」の件はこれにて終了。
ああ、第二話が楽しみ!
 
(太之輔)