突発小説もどき -A Chird Dream 3-
『敵には絶対に背中を見せるな』
どうして?
『あっという間に心臓を持っていかれるぞ』
そりゃ怖ぇ…
『避けられぬ攻撃なら腕の一つや二つくれてやれ。急所を持っていかれるよりマシだ』
簡単に言うなよなぁ…
マシでも怖ぇモンは怖ぇんだよ…
『その代わりタダではくれてやるな』
…と言うと?
『……はお前の専売特許だろ?』
…ああ。
そっか、それいいかも。
利用できるものは利用しちまえばいいんだ。
……の…格でさえも。
-A Chird Dream 3-
「――― へくしっ!」
くしゃみに続いてぶるりと背筋が震え上がる。
寒い、…と言うより、冷たい感じだ。
ぼけっとしたまま窓の外を見れば、雨が生き生きと降り注いでいた。土砂降りだ。
朝は暖かかったのに冷たくなったのはそのせいか…
一度寝たらなかなか起きないシャルワールを起こした雨の冷たさ。
けれどシャルワールは雨が好きだった。
どうして好きになったかは、原因があったはずだが覚えていない。
頭がだんだん冴えてくる。無理矢理起こされたけれど別段機嫌は悪くない。
寧ろ雨の訪れは歓迎だと、ベッドから降りて窓枠に近付いた。窓を叩く雨粒の動きがとても楽しい。
ついさっきまで見ていた夢の事などとうに忘れている。
彼は今、雨に夢中だ。
しばらくして、折角の雰囲気をぶち壊す音が炸裂する。
ぐぅ~。
一瞬、胃が潰れたかと思った。
「腹減った」
それを自覚すると胃の収縮がみるみるうちにシャルワールの体力を蝕んでゆく。
しかし黙って空腹に倒れてやるほどシャルワールは大人しくない。
早速と飢餓の苦しみから脱出を試み始める。
名残惜しむ素振りも見せず窓枠から離れて一直線に冷蔵庫に向かう。
お巡りさん泥棒ですよと言いたくなるほど巧みに冷蔵庫を漁る。
手馴れているという事は常習犯である。
彼の漁った後の冷蔵庫の中身はもはや荒野と化していた。
「…ん?」
生のニンジンを咥えたまま食卓を見る。
そこにはラップで包まれた焼き魚と煮物、ご飯と味噌汁が置いてあった。
ジェングが用意したものかな。思いながらニンジンをぼりぼりと齧る。
先にテーブルを確認しておくんだった。チッと心の中で舌打ちが鳴る。
そう言えばジェングがいない。
(依頼に追われてんのかな)
思いながらご飯を頬張る。あれだけ冷蔵庫を漁ってもお腹いっぱいだと言わないのがこの男である。
時刻は午後三時を過ぎた辺り。シャルワールにとって一日の中で最も暇を持て余す時間帯だ。
雨は好きだけど外に遊びに行けないのが辛いところ。
シェザはあんまり相手にしてくれないし、ライゼは遊んでもすぐにバテるし…
それ以前に二人ともいないのだが。
「………」
退屈だ。
飯を食べ終わるともうやる事が無い。
…待て。
あれだけの量をもう食べ切ったのか。
もしも彼が死ぬような事があれば早食い大食いが原因に違いない。
「遊びにいこうっと」
いそいそと仕度を始めるシャルワール。
雨の日は遊びに行けないのではなかったのか。
…彼は都合のいい男である。今それを聞けばこう答えるだろう。
え? そんな事言ったっけ?
今、彼を止められる者はここにはいない。
雨の威力が少しだけ弱まっていた。
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雨足はここまで届いていない、神聖都市アウグスタ。
言わずと知れた信仰都市。
その歴史は多く解明されていないが、ブルン暦四四二三年の赤き空の日より多くの天使たちが天上界から追放され、地上の教会でビショップとして奉仕することを命じられこの地に身を寄せ合ったとされる事から、歴史の起源は最低五百年は遡る。
アウグスタの権力の象徴であるアウグスタ大聖堂。
都市の中心に堂々と構え、四方豪華なステンドグラスで覆われている事からも、いかにアウグスタの権力が絶大であったかを物語っている。
その一方で葡萄酒の名産地としても知られており、中でも数多くの貴族の舌をうならせたクレミ・レニョールブランドは祭典、式典に欠かせないほど有名である。
神の加護に守られた都市は一見争いとは無関係に見えるも、実際には悪魔と人間による長期戦争に巻き込まれ、命を落とした者たちの魂が彷徨う悲しき背景があった。
ひとたび街から離れれば夜な夜な徘徊を繰り返す吸血鬼の群れ。その中で最も多く亡者が蠢いていたのは、街からそう離れていない麻薬巣窟であった。
亡者の魂を鎮める為にビショップたちは祈りを捧げ続けている。
強すぎる怨念の力に遠ざけられながらも、少しでも彼らの苦しみが現世から解放されるように……
語られぬ歴史の重みを風から感じ取り、ジェングは少しだけ目を伏せた。
彼にしては珍しい重装。
職業柄体格はそれなりに大きいが、普段纏わぬ重装が、更に彼の背中を大きく見せていた。
あまり立ち止まっている時間は無い。
伏せていた目を開くと、ジェングはある場所に向けて歩き出した。
「この辺りで最近変わった事は無いかですって?」
呼び止められた神父らしき男が不思議そうな声で繰り返す。
「ええ、ほんの些細な事でいいんです、何か変わった事はありませんでしたか?」
「ははは、ここを何処だとお思いですか。神は常に我らと共にあります、神の加護のもと、事件など起こりようはずがありません」
穏やかに笑うように見せかけて、その裏では不穏の影を疑う冒険者へ警告の意を送っている。
それ以上は神への、いや、我らに対する冒涜であると。
これ以上はジェングも探らない。
軽く礼を述べその場を去る。――― これで十人目、反応は皆同じ。
「―――……」
遠く離れた後ろで複数の声が聞こえる。
何を話しているのかは分からないが対象が自分に向いている事を背中で悟る。…すでに目を付けられ始めているようだ。
できれば何か一つでも手がかりが欲しかった。
けれどこれ以上散策を入れれば住人たちの目に敵意が宿る事は見えている。これ以上は危険だ。
(葡萄酒はあっても酒場が無いってのが痛いな)
思いが苦笑となって表れる。
冒険者にとって酒場は欠かせない情報収集源である。
けれど神を信仰するアウグスタには、酒の誘惑など不要な長物なのだ。
頼みの住人たちも口が堅い。けれど彼らが嘘をついていない事はすぐに分かった。
(…仕方が無い、そろそろ行くか…)
長居をしても住人たちの気が良くはないだろう。移動の目処をつけ、ジェングが立ち去ろうとした――― その時だった。
「…あの、冒険者さん」
「…?」
返事も忘れて振り返る。
振り返った先には、ひそひそと会話をしていたあの二人組み――― 修道女らしき女性たちがいた。
「何でしょうか?」
思っていたよりも優しい声に二人が安堵して顔を見合わせる。
一般人には頼られつつも恐れられる冒険者だが、ジェングの意図せぬ笑みは警戒心を緩ませる効力があった。
「あなた、先ほどからあちらこちらで何かを訊ね歩いているみたいですけれど…」
「…ああ」
思わず苦笑する。
たった数人に訊ね歩いただけでこうも目立つという事は、日常よっぽど冒険者がうろつく事は無いんだろうな…
そうなら今の自分は彼女たちの目にはさぞ不審に映っている事だろう。
「何かをお探しで?」
「ええ、けれど訊ねた先から情報は得られなくて。そろそろ出発しようかと…」
「まぁ…そうでしたの」
「出発の前に私たちにできる事があれば協力しますわ」
願ってもない申し出だった。
例え彼女たちから情報が得られなくとも、その言葉だけでもジェングにはとてもありがたかった。
「この辺りで最近変わった事があれば、ほんの些細な事でも構わないので教えていただければと…」
「変わったこと…? そうですねぇ…」
今まで訊ね回った住人たちは考えもせずに無いと切り捨てた。
けれど彼女たちは何かあったかしらと記憶を掘り起こしている。
その違いがジェングを僅かな光へと導いた。
「あ、そう言えば…」
「!」
「でも別に変わったと呼べるような事でも…」
「構いません、教えていただけますか?」
「では…」
「一週間ほど前だったでしょうか…」
「あなたと同じように何かを訊ね歩いている冒険者を見かけましたわ」
「冒険者?」
「ええ、何の職業かは分かりませんでしたけれど…男の方でしたわ」
「その方が何を訊ね歩いていたかは分かりますか?」
「私たちは直に訊ねられていないのですけれど、この辺りに女が住んでいないかと聞かれたそうですわ」
「その方が尋ね人に会えたかどうかは分かりませんが…長居もせずすぐに何処かへと旅立ったそうです」
「けれどその方が去ってからも特に変わった事は起きていませんし、久しく冒険者を見かけましたわね…くらいの印象ですわ」
「…こんな話でもお役に立てたでしょうか?」
真剣な顔をして話しに聞き入るジェングに、修道女たちの恐る恐る割る声が向けられた。
「…十分すぎるほどです。ありがとうございます」
真剣な顔のままジェングが笑う。
そして手持ちから一万ゴールドを取り出すと、一人の手にそれをおさめた。
「えっ? あ、あのこれ…!」
ジェングがすでに去り始めている為、修道女たちの混乱する声が大きくなる。
「情報提供料と、募金です」
笑顔で振り向かれ修道女たちがますます混乱する。ジェングは歩みを止めずに正面を向き直す。
たったあれしきの、自分たちにとって情報とは呼びがたい世間話のようなものをしただけで一万ゴールドもの大金を握らされると彼女たちでなくとも混乱するだろう。
けれど今の話はジェングにとって一万ゴールドでも安いほどの価値があった。
行くべき場所が決まった。
けれどそれは同時に、本当に罠に飛び込まねばならない事を示唆していた。
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カサカサカサ……
スリッパでベチンとしてやりたくなる音が狭い隙間に反響する。
しかしここは匍匐前進でなければ前に進めないのだ。
伏せてやっと人一人が通れる通路。
シャルワールは何気に目敏い。彼はシーフギルド跡地に侵入する時は正規ルートを通らずに偶然見つけたこの抜け穴を使っていた。
堂々と正面から入れば嫌でもモンスターたちの手荒い歓迎を受ける事になる。
何事も力ずくで強引突破と思われがちなシャルワールだが、意外とそうでもないようだ。
お楽しみのダンジョン侵入(突入でなない、侵入)まであと数十メートル。
心なしかカサカサの音が激しくなっていく。楽しみでうずうずしているのか。
「…む?」
ふと、シャルワールの足がぴたりと止まった。
背後から何かの気配がする。
こんな狭い通路では視線を向けるのが精一杯で振り向けない。
何かが近付いてくる。それも物凄いスピードで、更に物凄い数で……
「………」
全身から嫌な汗が噴き上がる。
まずい、非常にまずい。
来る、やつらが……!
(どわあああああああああ!!)
音がカサカサからシャカシャカに変わる。
匍匐前進の速度が七十パーセント上昇した。
背後から迫り来るものは怒涛の勢いでシャルワールに襲い掛かってくる。
ネズミの群れだ、その数はゆうに百を超えている。
しかもただのネズミではない、一匹一匹が丸々と太って殺気立った眼光を放っている。
一体何を食べたらそんなに太るのか、いやそれよりもそんなに太っていながら何故そんな恐ろしいスピードで走れるのかと余裕はこれっぽっちも無いのにそんな事を考えるシャルワール。
あの牙、あの爪、あの獰猛さ。お前らネズミじゃねえよ。
半泣き面でそんな事を思ってみる。安心しろお前も人間ではない立派なゴキブリだ。
この通路が一直線だったならばシャルワールも体力を消耗するだけで逃げ切れたかもしれない。
しかし残念な事に抜け穴は隠しダンジョンに引けを取らないくらいの迷路構造になっている。
ネズミの奇襲から逃げるだけで精一杯なシャルワールに冷静な判断力は微塵も無い。
哀れシャルワール、見事に迷子になってしまった。果たして彼はネズミの餌食になってしまうのだろうか。
その時シーフギルド跡地の地下一階にいたモンスターたちは天井から駆け巡る地鳴りのような揺れに首を傾げていたという。
ほぼ同時刻、シーフギルド跡地地下三階。
地上とは比べ物にならないほど空気は冷たく、重力が圧し掛かっているのを意識させるほど湿気を多大に含んだ空気は重い。
地下独特の環境を最大限に生かした造りであるその場所は、人はおろかモンスターでさえも簡単に生かしてはくれなかった。
しかしそんな地獄でも生き延びるやつは生き延びる。
地獄という名の環境は、地獄をも生き延びる一際強いモンスターを生み出した。
ローグ、殺人蚊の群れ、マゴット。
その数合わせて二十匹以上は居る。
それらは何かを取り囲むようにぐるりと円陣を描いて、その中心を殺気走った目で睨み付けていた。
彼らの眼方に居る者は追い詰められてこの状況に陥った訳ではない。
その証拠に、帽子の鍔に唯一隠れていない口元が薄っすらと笑っていた。
モンスターのリーダーと思われる一匹のローグが合図を送る。人の言葉が話せるなら「かかれ!」と言ったのだろう。
合図を受け取りモンスターたちが一斉に襲い掛かる。
威力を犠牲にした代わりに急所を抉る形に特化されたナイフ、一匹一匹が猛毒を持ち動物の肉すらも千切る吸血針、噛み付かれたが最後、骨を引き千切るまで離さない無数の牙。
それらが全て、たった一人に向けられている。
状況はどう見ても襲われた方の分が悪い。しかし戦闘に手練れた者がこの状況を見れば決着を見る間でもなく言い切るだろう。
ああ、奴らは運が悪かったなと。
残像が残るほどのスピードでナイフが風を切った。
真っ先にナイフを振るったのはローグ。確実に仕留める自信はあった。
けれどローグの腕に残ったのは空っぽの手応え。
「シャドウスニーキング」
「!!」
その声が聞こえたか聞こえないかの――― そんな一瞬だった。
飛んでもいないのに視線がみるみる高くなる。
何が起こった? それを理解するより先に彼の視線はついに天井に達した。
首が垂直に落下する。
思い出したかのように血飛沫が飛ぶ。
彼の持つボーディングアックスには、血の一滴も付いていなかった。
「……!!」
モンスターたちに動揺が走る。
取り囲っていたはずのその男は、今は円の中から外れている。
馬鹿な、あれを一瞬でやったのか。
モンスターたちが彼の姿を見たのは、それが最期だった。
消えたかと思うと無数の投擲が死角から降り注ぐ。
それらは精密な命中率で殺人蚊の核(コア)を砕き、マゴットを縦真っ二つに切り裂き、ローグの頭部を切断した。
あれだけ数がいたのに、ぐしゃりと音が響いたのはほぼ同時。
辺りには咽返るような肝の臭いが広がっていた。
「………」
男はモンスターを一掃した後も表情を砕かなかった。
何かが近付いてくる…
けれど気配どころか足音すら隠さぬ粗末な移動。
敵ではない、ただの阿呆が近付いてくる。
男の読みを正解だと告げるように、音は数秒も経たず男の頭上を駆け抜けた。
ドドドドドドドド……!!
男は小さく溜息をついた。呆れているのだ。
ボーディングアックスを何かが駆け抜ける場所に先に打ち込む。
天井の壁が砕けた。あんなに分厚い石の壁を、この男は投擲たったの三本で砕いたのだ…
「どわあああああああ!?」
砕けた天井の穴から何かがべしゃりと落下した。それに続いて化けネズミの大群も。
何が起きたのか分からないといった感じで落下してきたものがきょろきょろとしていたが、ネズミと視点が合うと絶叫を上げて逃げ始めた。
状況はさっぱり分からないがとりあえず襲われているらしい。
男は放っておこう…と思ったが、やつらがあんまり派手にダンジョンを荒らしてくれるので助けてやる事にした。心なしかこめかみに青筋が浮かんでいるような気がする。
「おい、そこのガキ、こっちに来い」
聞こえていたのかは分からないがガキが男を目掛けて突進してくる。
「わっ!?」
男の横を擦れ違う瞬間、ぱしっと足元を払い蹴りされてガキの体が宙に浮かぶ。
そのまま着地点で顔を打つかと思ったが、意外な事にガキは宙で身を返して軽々と着地をした。
「ほぅ…」
男が横目で着地を見届けた――― 次の瞬間。
ぼうんと凄まじい爆発が起こった。
その爆発は本当ならガキが踏んで通ったはずの場所から巻き起こる。
エクスプロージョントラップ。
罠を踏み荒らしたネズミたちは、一匹残らず罠の爆発に巻き込まれ肉片を撒き散らした。
ガキがぽかんと口を開けて爆煙を見ていた。何がどうなったのか分かっていないのだろう。
「…はっ」
ガキが我に返った。
「助けてくれてありがと! じゃっ!」
「待て」
落下した天井の穴に再び戻ろうとしたガキのマントに、ボーディングアックスの刃を食い込ませる。
「何すんだよっ」
「……」
再び落下したガキが睨み付けてくる。全く怖くない。
別段変わったところは無い…多少身が軽いだけのガキにしか見えない。
けれど男はこの子どもにくすぐられる何かを感じた。
言うならば…おもしろいものを見つけた、と言ったところか。
「俺はルヴェニス。お前は?」
「は?」
「名前を聞いたんだよ」
「オレか? シャルワール」
物怖じしないガキだ。
相手の力量を見抜ける者は俺を見れば逃げ出すものだが。
ルヴェニスが小さく笑った。その笑みをシャルワールは理解していないようだった。
「げっ…何だこれ、重っ!」
マントに食い込んだボーディングアックスを離そうとシャルワールが取っ手を握った。
しかし彼が悲鳴を上げたのは壁に食い込んだ深さではなくボーディングアックスの重量。
思っていたより力は無さそうだ…
「お前、こんなところで何をしていた?」
言いながらルヴェニスがボーディングアックスを引き抜いた。
その手付きや表情にはボーディングアックスの重さなど微塵も感じられなかった。
「ネズミに追いかけられていたんだよ」
そんなの見れば分かる。ルヴェニスが聞きたいのはそんな事ではない。
「違う、こんなところに立ち入るなんざよっぽどの馬鹿か命知らずだ。お前はそんなところに入って何をしようとしていたんだ?」
それならお前も馬鹿か命知らずなのか…と言いたいところだが、彼はそのどちらにも当て嵌まらない。例外というやつだ。
「え、いや…」
シャルワールがぎくりと表情を歪ませた。
あまり言いたくない事らしい。
そうなると余計に口を割らせたくなる。
「助けてやった恩人に対してそれはねぇよな? え? シャルワール」
「うぅ…」
ボーディングアックスの刃をちらつかせてルヴェニスがサディスティックな笑みを浮かべる。
シャルワールが呻っているのは脅迫に怯えているからではない、恩人と言われると仇で返せないのだ。
シャルワールにしてみれば隠しダンジョンを攻略しに来た事はあまり人には知られたくない。
あれは今のシャルワールの一番の楽しみであり、できるだけ誰にも先を越されずに一人で攻略したかったのだから。
「あーそう、仇で返すのな。じゃあ仕方ねぇ…」
「だーもう分かったよ! 教えりゃいいんだろ教えりゃ」
仕方ねぇ…の後に続く言葉が「死んでもらうわ」だったなんて事はシャルワールはこれっぽっちも知らない。「仇で返す」と言われると折れるしかなかったのだ。
「くく、最初から素直にそう言ってりゃいいんだよ…」
「けっ」
どこかズレている二人であったが、この後シャルワールの口から隠しダンジョンの存在が明かされると、興味を持ったルヴェニスもダンジョン攻略に加わる事になった。
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なかがき。
アウグスタの歴史はオリジナr(中略)
というわけでちっとも参考にはなりません。
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耳返信のコーナー。
> アニキ
返信した時すでに落ちてたようで、ごめんね~耳ありがと!
再フリでゴキブリになれるならとっくに使っています。
そんな訳ないでしょ、メッ!
その気になれば壁をも這いそうですね、あの匍匐前進は。
最終的にはブラックダイヤモンドの翼で大空を舞うんだ。まさに地獄絵図。
