「ジェンダーフリー」ブッタギリ -16ページ目
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公立中学での教育現場

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小学生で受けた「ジェンダーフリー教育」に対する子供達の
認識の修正を行っている現役の公立中学校教諭のレポートです。
参考になります。
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公民授業実践報告


「ジェンダーフリー」 って 何でしょう?


わが国にはびこる家族破壊・モラル破壊のジェンダーフリー症候群の恐ろしさに気づく中学生たち

公立中学校教諭 服部 剛


 1.はじめに

 社会や文化、歴史が作り出した男女の「性別分類」「性差」のことを「ジェンダー」と呼び、生物学上の男女の差とは区別されて特別な扱いを受けている。私たちは、何と幼い頃から知らず知らずの内にジェンダーを刷り込まれており、無意識に「男女差別」を行なっているのだそうである。

 例えば、「男(女)だったらこうするものだ」などという「男らしさ・女らしさ」のことである。この様な考え方の上に、私たちは「固定的な性別役割分業観(役割の押しつけ)」にとらわれて生活しているらしい。

 「男女平等」をもっと進めていこうという活動をしている女性団体などが、「ジェンダーフリー」の社会を実現するため活発に取り組んでいる。

 これら運動家・フェミニストの主張によると、男も女もジェンダーにとらわれなくなれば(もっとはっきり言うと、男と女の違いを無くして均等・均質にすると)、「真の男女平等」が実現して「皆が自分の能力や行動を広げ、伸びやかに生きることができる」世の中になるそうだ(何という単純さだろう!)。

 というわけで、社会のさまざまな場面でこのジェンダーフリーの実践が行なわれている。教育界も例外ではない。例外どころか急進的に取り組んでいるところも多々見受けられる。行政もこの運動を後押ししており、異論をさしはさむのには大変な勇気がいる。

 しかし、このジェンダーフリーのよって立つ理論、すなわち「生物学上の男女差以外の性別分類は、社会や文化・歴史が作り出したものである」というのは真実なのだろうか。 また、多くの人々は「このような間違った考え方の上に、固定的な性別役割分業観を押しつけられて窮屈に生活している」というのは本当なのだろうか。

「男女平等」の単元のところで、最新の脳神経科学の成果を取り入れた授業を実践した。

以下、●は教師、○は生徒の発言。

 2.授業の流れ

●皆さん、今日は「男女平等」の話をします。男女は平等だと思う人~っ。
○はーい。
●皆、異論はないようですね。まぁ、当たり前でしょうけど…。ところで、平等って言っても、具体的にどんな形態が「男女平等」って言うんでしょうか?
○就職するのに差別が無い。
○給料も平等。
●そう、仕事の内容や成果が同じだったら、同じ給料じゃなくっちゃ困るね。
○「女らしく」って言われると頭にくる。
と、女子生徒の発言あり。
●おっ、そうですか。「男らしい」とか「女らしい」って言ってはいけないんですか。
○はい。
●もしかすると、小学校ではそう言っちゃいけないことになっていたんじゃないですか。
○はい。
●ふーん。じゃあ、そのへんの不満も含めて、本題に入っていきましょう。


「ジェンダーフリー」って知っていますか。

○男女差別をしないこと。
●そうですか。他にありませんか? この言葉を聞いたことがある人は?
(少数であった)
●では、説明しましょう。
 生物学上の男女の差は厳然としてあります。これは、当たり前ですね。ところが、これとは別に、長い歴史や文化の中から作り出された男女の「性の差」というものがあると言われるようになりました。例えば「こんな場合、男(女)だったらこうするものだ」などという考え方です。 このような社会生活における「性の差」を「ジェンダー」と言います。
 では、教科書(日本書籍)20ページと28ページを読んでみましょう。
●教科書によると、私たちは固定的な「性別役割分業観」にとらわれて生活しているようですね。固定的な「性別役割分業観」とは簡単に言うと、「役割の押しつけ」ということだそうです。そこで、男女平等をもっと進めていこうと女性団体などが活発に取り組んでいると書いてあります。
 その運動の基本的な考え方が「ジェンダーフリー」なんですね。この運動家の人達をフェミニストと言いますが、その説くところはこうです。 私たちの多くは、何と幼い頃から知らず知らずの内にジェンダーを刷り込まれており、無意識に「男女差別」を行なっているんだそうです。

 彼らはこう主張します。男も女もジェンダーにとらわれなくなれば、この世の中に「真の男女平等」が実現すると。もっとはっきり言えば、男と女の違いを全く無くして均等にすると、固定概念に捕われず「皆が自分の能力や行動を広げ、自由に、伸びやかに生きることができる」世の中になるそうです。
 ちょっとまとめましょう。

【板書】
 男女平等の実現へ向けて …女性団体
 ↓
「ジェンダーフリー」運動
 ・ジェンダー~社会や文化、歴史が作り出した男女の性差のこと。
      「男らしさ・女らしさ」
 ・フリー~解放。破壊。

●だから、真の男女平等社会を実現するためには、一人一人もっと敏感になって、自分の心の中にある男女差別の根源すなわちジェンダーを常にチェックしなければいけないとのことです。
 そこで! 現在、世の中のいたるところで行なわれているのが「ジェンダー・チェック」です。これは皆の「ジェンダー度」をはかるテストです。さぁ、やってみましょう。

 プリントを配布する。
 これは岐阜県男女共同参画課「ジェンダーチェックマニュアル」、鳥取県西伯町男女共同参画交流室、東京女性財団、八戸市ウィメンズアクション、大阪市女性協会などのホームページから抜粋して私が作成したものである。

【ジェンダー・チェック】

 あなたのジェンダーバイアス(性別に基づく固定的な決めつけ・偏見)をチェックしましょう。下の質問に同感する場合は○をつけてください。

1.男性はたくましく、女性は優しいほうがいいと思う。
2.男が泣くのはみっともない。
3.「女らしいきめ細かさ」「男らしく豪快」などの表現は自然である。
4.男の赤ちゃんは青系の服、女の赤ちゃんは赤系の服が似合っていると思う。
5.男の子が車や電車、女の子が人形で遊ぶことは普通である。
6.やっぱり、重い物を持つ力仕事や高いところの物を取ったりする仕事は男に任せましょう。
7.年頃になっても外見を気にしない娘は、ちょっと心配になる。
8.男の子が口紅を塗って遊んだりするとちょっと心配になる。
9.学校の制服は男子はズボン・ 女子はスカートがいい。
10.男性を「氏」「くん」、女性を「さん」「ちゃん」と表現している。
11.男性がスーパーで夕食の買い物をしているのを見ると不憫(ふびん)に思う。
12.家族のために、自分さえ我慢すればいいと思うことがある。
13.仕事を成功させるためには家庭のことは二の次になっても仕方がない。
14.料理が得意な女性はいい奥さんになれると思う。
15.家事をしない夫の話を聞くと「理解のない人だ」と思う。
16.「主人」や「奥さん」という言葉、別に抵抗を感じない。
17.女性も男性も結婚したほうがいいと思っている。
18.結婚したら、夫婦は同じ名字を名乗るほうがいい。
19.子供が小さい間は、母親は家にいたほうがいいと思う。
20.妻より収入が少ない夫は頼りにならないと思う。
21.男性のほうが女性より企画力や決断力に優れていると思う。
22.女性より出世が遅れる男性は男として恥ずかしい。
23.女性も仕事を持つのはいいが、高齢になってくるとずっと一人は寂しいと思う。
24.お年寄りの面倒を見るのは女性のほうが適していると思う。
25.3月3日ひな祭りは女の子、5月5日端午の節句は男の子の祭り。別に問題はない。

 一つずつ私が読み上げながら、しばし作業をする。

●終わりましたか? では、診断しましょう。ついた○の数を数えておいてください。

「診断」のプリントを配布。生徒、大いに盛り上がる…。

【ジェンダーチェックの診断】
◎15~25点…トッテモ古代人、
あなたは生きた化石です。ギネスブックに載ること間違いなしです。固定的な性別役割分業観にとらわれた窮屈な生き方をしていませんか。自分の中にある男性中心の考え方に気づきましょう。このままでは大きなお荷物になりかねません。

◎7~14点…シッカリ地球人
 何かヘン?!と気づき始めたあなた。でも、まだ少しこだわりがあるようですね。これをきっかけに「自分らしく」生きるってどんなものかじっくり考えてください。

◎0~6点…トンデモ宇宙人
 あなたはまさに時代の先駆者! あなたは性別にとらわれず、個性や能力を伸ばし、自分らしく生きることができる頼もしい人です。あなたの考え方を周りの人にも波及させましょう。

 「俺は古代人だ~!」などという怒号を制しつつ、分布をとる。何と「トンデモ宇宙人」がクラスに3人もいた。ジェンダーフリー教育の成果であろうか。「こんなもん普通の感覚でやればみんな古代人だよ」と男子、怒りの声。「先生は?」の質問も。私は濃厚な「古代人」であったが、男女とも半数近くの生徒が「トッテモ古代人」であった。

●点数が低いほどジェンダーフリーを実践している進んだ人間であるということですね。みんな結果に満足しましたか。
 それはさておき、今日本のいたるところでこのようなジェンダーフリーの方針が取り入れられています。君たちの身近なところでも実行されていますよ。


ジェンダーフリー運動の成果には何がありますか。


●学校では、どんなことがありますか? 男女の区別を無くしたものはありますか?
○体育の授業。
○技術家庭科もあります。
●授業以外ではどうですか。今、本校では行なっていませんが、区内の学校ではほとんど実施しているものがあるんですが…。皆も小学校ではやっていましたよ。
○出席番号だ。
●そう。名簿ですね。「男女混合名簿」と言います。
●会社や社会全体ではどうでしょうか。教科書には何とかいてありますか?

 教科書から読み取らせ、解説しつつ板書してまとめた。

【板書】
・学校では→男女混合名簿
      体育、技術家庭科の男女共修
・社会全体では→男女共同参画社会基本法
・結婚問題では→夫婦別姓問題
        婚姻適齢差別問題

●さまざまなことが実施されているんですよ
。 では、ここで常識的に考えてみよう! 例えば、「男女混合の名簿にすれば世の中から男女差別がなくなる」と思う人はいますか?
「夫婦が別々の名字を名乗ったら男女それぞれが自立できるようになり、その結果、男女差別がなくなる」と思う人、いますか?
 「男子でもスカートの制服を認め、女子でもズボンの制服を認めれば、男女差別がなくなる」と思う人は?

○ありえません。
○ばかばかしいと思う。
○そんな単純なことじゃないと思う。

●そうですね。ジェンダーチェックの中には「さもありなん」と思うこともあるでしょう。しかし、どうもおかしいことが相当紛れ込んでいると思えませんか。

 資料1を配布する。

●この資料には、今最先端の科学の一つである「脳神経科学」によってわかったことが書かれています。私たちの心はどこにあるのか。それは結局「脳ミソ」でしょう。ということは、心の動きを調べるには脳の動きを調べればいいわけです。

 1980年代後半に「MRI」という機械が開発されたことによって、脳の中身が明らかになってきました。皆も見たことがあるでしょう。体を輪切りにして写す機械です。かつて心理学の分野だった心の動きを、生きながらにして調べられるようになったんです。
 そこで分かったことは…、資料を読んでみましょう。

【資料1】

「脳神経科学」によってわかったこと。
  ↓
「男女の脳は違う構造をしている」
(すでに胎児の時に決まっている)
  ↓
その結果、
・感情、思考、理解の仕方、優先順位、行動、信念などにも性差がある。
・同じ作業をしていても男と女では使っている脳の部分が違う。
・男と女に共通しているのは「種」が同じということだけと言えそうである。

《男脳の特徴》
1、攻撃する脳
2、右脳の方が発達が早い
3、感情の中心は右脳にある
4、活発・無鉄砲・粗暴
5、外での遊び・攻撃的な遊びを好む
6、動くおもちゃ・ゲームが好き
7、痛みに弱い
8、左脳で言葉を使う
9、空間認知能力に優れる
10、頭の中で折り紙ができる
11、一度に一つのことしかできない
12、人の話が聞けない
13、音の方向を聞くことができる
14、青系の冷たい色を好む(特に赤ん坊)
15、脳内が機能ごとに区分けされ、情報の整理や論理的思考に優れる
 16、ストレスがたまると黙って頭の中で話をする
17、問題が起こると解決したがる
18、物体や形に反応し、その仕組みに興味を持つ
19、機械関係・空間能力を生かせる職業を好む

《女脳の特徴》
1、おとなしい脳
2、左右の脳が均等に発達する
3、感情の中心が左右の脳にある
4、人形遊びや室内での遊び、ママゴトなど社会性のある遊びを好む
5、味覚・嗅覚に優れる
6、甘いものを好む
7、左右両方の脳で言葉を使う
8、言語能力に優れる
9、右と左がすぐに区別できない
10、関連のない作業を同時にこなせる
11、地図が読めない(空間能力にかける)
12、小さな変化に敏感な感覚能力を持つ
13、音の大きさ高さを察知する
14、赤系の暖かい色を好む(特に赤ん坊)
15、しゃべることで情報の整理をする
16、ストレスがたまるとしゃべる
17、赤ん坊や手足の短いぬいぐるみを見ると世話をしたい感情が起こる
18、人間や人の顔に反応し、その関係に興味を持つ
19、人と接する職業を好む

 生徒たちは大変な興味を示し、熱心に自己分析していた。

●「当てはまるなあ」と思えるものが多くあるんじゃないですか。百%必ずこのプリントのようになるとは言えませんが、男女の脳はそれぞれこのような違いがあるというのが一般的なんだそうです。
 なぜ、こうなるんでしょうか。その原因もわかっています。実は百万年にわたる「人類の進化」と深い関わりがあるんです。
 原始時代、我々はどんな生活を送っていたか思い出してください。男は何をやっていましたか?

○「狩り」をしていました。
●女は?
○家を守ってた。
○子供や家族の面倒をみる。
●そうです。《男脳の特徴》の5、6を見てください。男の子が「外での遊び・攻撃的な遊び」を好んだり、「動くおもちゃ・ゲーム」が好きなのはなぜですか?
○男は狩りをして、外にいることが多かったから。
●では、男が9の「空間認知能力に優れ」ているのはなぜですか? 「空間認知能力」とは、どこにいても自分の位置を知る事ができる能力のことです。
○帰ってくるためだ。
●どこからどこに?
○狩りから自分の家に。
●そうだね。腹をすかして待っている家族のもとへ獲物を届けなくてはダメですからね。男は進化の過程で、この能力が発達していったわけです。
 では、《女脳の特徴》の4。女の子が「人形遊びや室内での遊び、ママゴトなど社会性のある遊びを好む」のはなぜ? また、8のように女性が「言語能力に優れ」ているのはなぜですか?
○家族をまとめていたから。
●うん。留守を守る女性にとって大人数の家族の「和」を維持することがとても大事な仕事でした。その結果、人と人との関係を観察する能力とコミュニケーションによって調和させる能力が発達していったわけです。
 男女の能力差は、良い・悪いではなくて、人類が生き残るために進化した結果なのですね。もう一度それぞれの脳の特徴を見てごらんなさい。なるほどと思えるものが多いでしょう。

●長い長い狩猟採集生活を経て、それぞれの役割の違いから男女は異なる進化をしてきたということがわかったでしょうか。
 ちょっと科学的に補足をしましょう。「胎児の時」に、男性ホルモンの「アンドロゲン(テストステロン)」を大量に脳に浴びると男脳になることがわかっています。だから、生まれる前から脳はプログラミングされていて、人はそれぞれ、すでに男脳と女脳になって生まれてくるんですね。
 こうして、現在少なくとも男女の脳の特性から生ずる「向き・不向き」があるという事実が明らかになっているわけです。
 例えば、《女脳の特徴》の17にあるように、女性は「赤ん坊や手足の短いぬいぐるみなどを見る」とプロゲステンという女性ホルモンが放出されるんだそうです。これは母性愛や世話をしたくなる感情を起こすホルモンといわれています。ひょろ長い人形を見てもホルモンは放出されない。
 一方、男はどんな人形を見てもそんなホルモンは出ないんですって。女性は子育てに向いているというのは脳のレベルにおける事実なんですね。
●ここで質問。仮の話ですが、ジェンダーフリーの訓練を徹底的に続けて脳のレベルで男女が同じになるには、何年かかると思いますか?
○千年ぐらい。
●ある生物学者によると、少なくとも五千年はかかるという話です。
●また、こんな深刻な指摘もあります。生まれつき脳が持っている「男らしさ・女らしさ」を自由に表わすことが妨げられると、人はどうなるでしょうか?
○イライラしてくる。
●そう、心に不当なストレスがたまっていくらしいんですね。その結果、心の健全な成長を阻害することになると言う話です。
 そろそろまとめましょう。


「脳の性差」が生まれつき存在するという科学的事実に照らし合わせて考えると、「男らしさ・女らしさは歴史的に押しつけられてきたもの」だという「ジェンダー理論」は正しいと思いますか。


○おかしい。
○間違っています。
●「ジェンダー理論」の破綻ですね。

【板書】

「脳の性差」が生まれつき存在するという科学的事実
  ↓
「ジェンダー理論」の破綻
●しかし、実際の我が国の動きはどうなっているでしょうか。
 一度弾みがついて動き出したものはなかなか止められません。「男女共同参画社会基本法」施行以来、全国津々浦々、多くの自治体では「男女共同参画条例」というものが制定されています。そこでは、ジェンダーフリー思想が完全に独り歩きしています。
●はっきり言っておくと、「ジェンダーフリー」という言葉は、実は日本人の運動家が作った言葉です。男女の関係を対立する「闘争関係」でとらえています。その目指すところは「男性の女性化・女性の男性化」です。「無性化」です。男女平等をこえてますね。これは、性別秩序の崩壊ですよ。
 ちなみに「性差を無くす」という極端な考え方は欧米にはありません。「男女同質だから男は女を守りません」なんて言ったら、軽蔑されておしまいでしょう。
 でも、今の日本では、ジェンダーフリー思想に基づいた取り組みに対して、少しでも異議をはさもうものなら「男女差別主義者」として扱われそうな空気になっています。
●では、男女共同参画社会の実現を進めている日本国政府は、我が国をジェンダーフリーな国にしようと考えているのでしょうか?
 資料2を見てください。

【資料2】

男女共同参画に関する政府見解
(平成14年11月12日 参議院内閣委員会にて。質問者は亀井郁夫氏)

①男女が互いの違いを認めて尊重しあうのが基本法の精神ではないか?
  ↓
政府答弁(福田康夫官房長官)
・「男らしさ、女らしさを強調しすぎるのは問題だが、時代や社会情勢が変わっても男女の性別に起因 する男らしさ、女らしさは否定できない」
・基本法は「男らしさ、女らしさを否定するものではない」

②公務員や審議会の委員、企業の幹部などは男女同数が望ましいなどと「結果の平等」を求める主張が 一人歩きしているが?
  ↓
政府答弁(福田康夫官房長官)
・男女共同参画の目標は「機会の均等」であり、「結果の平等」ではない。

③一人歩きしている「社会的・文化的な性差の解消」を意味する「ジェンダーフリー」が基本法の精神 か?
  ↓
政府答弁(坂東真理子・内閣府男女共同参画局長)
・「ジェンダーという言葉は男女共同参画基本計画において使用しているが、ジェンダーフリーという 用語は…男女共同参画社会基本法、男女共同参画基本計画等の法令においても使用していない」
・「一部に男女の区別を無くす、男女の違いを画一的に一切排除しようという意味で使っている人がい て大変誤解されているが、男女共同参画社会はこのような意味でのジェンダーフリーを目指していな い」
・「内閣委員会でのやりとりを都府県に送り、趣旨を徹底したい」

●政府は「男女共同参画社会」は「ジェンダーフリー」の社会とは違うと言っていますね。「男らしさ・女らしさ」も否定しないと。どう思いますか?
○ホッとした。
○政府の方針通り、ちゃんとやらなきゃいけない。

●そうですね。最後に先生の考えを言っておくと…、
「男女は平等に扱うことはできるが、同じものにすることはできない」ということです。男女がそれぞれその特性や違いを活かすことによってこそ、「豊かで活力ある社会を実現」できるのではないでしょうか。それこそ、男女共同参画の社会が達成できると思います。
 皆は、どう思いますか? よーく考えてください。

         (授業終わり)

 3.生徒の感想

○「男らしさ、女らしさ」がない世の中はつまらないと思う。2種類の良さがあると思うから、その2 種類の良いところをとって、尊重しあうのが良いと思う。   女子
○ジェンダーフリーは絶対に間違っていると思う。男性と女性は違うからこそ、好きになったり嫌いに なったりする。同じだったらつまんないと思う。「自分らしく」っていっても、男女おなじにしたか らといってそうなるとは限らない。   男子
○性差を破壊し、区別も差別だとしたら、自分らしくどころかいろいろと制限されてしまうようになっ てしまうと思う。区別は差別じゃ ないし、無くしてはいけないはず。 ジェンダーフリーの主張はあまり 広まらないでほしい。「男らしさ、女らしさ」があることによって「自分らしさ」が出てくると思うから。   女子 ○確かに男女の差はあるけど、男女の差があるからこそ今の社会が成り立っているんだと思う。男女の 差がなくなれば…、どういう風に「自分らしく」なるわけ?と考えてしまう。自分らしい・自分らし くないは本人が決めることだし、性差を無くさなくても自分自身で主張できると思った。   女子
○女だからこれをやってはダメ…、とかいうのは少し頭にくるけど、「男らしさ」「女らしさ」を無くすのはどうかと思う。現在までの長い歴史や文化で培われてきたものなのだから、それを壊すのは歴史を否定してしまうのと同じことなんだと思う。   女子
○男女は平等ではなくて、同等の権利があるものだ。両性は足りないものを互いに補っていかなければ ならないと思う。ジェンダーフリーを続けると、男も女もみんな同じになってしまって、「自分らし く」生きていけるなんてことは絶対にありえないと思う。   男子
○自分らしく生きていける世の中を作るのと、ジェンダーフリーを進めていくのとは違うと思う。脳で 男らしさ女らしさが決まってくるのだから、区別も差別ととらえたり、性差を破壊するなんて無理だ。 両性の特徴をお互いにわかりあって生きられればいいと思う。   女子
○確かに仕事をしていく上では、性差はあってはならない。でも、性差を無くすことを全てに当てはめ るのは無理なことであるし、「男らしさ」「女らしさ」がなければとてもさびしいものである。それ があるから、人を好きになれるんだと思う。ジェンダーフリーがつぶそうとしている性差の中にある 「人間らしさ」を見つめ直してほしい。   男子
○この理論が「自由」を目的としているなら、なぜ「らしさ」を捨てろと考えを強制するのか。こんな 理論を法に取り入れるなんておかしい。   男子
○この主張は男性と女性という存在 そのものを消すことにつながるの ではないだろうか。仕事面などで、 男女を平等に扱うことができるの だから、男らしさ女らしさを否定する必要はない。     男子
○ずっと昔の人間が現れたときから男女があり、その差もあったと思います。女性が家で機織りをして いたのも差別だと言うけれど、人には「向き・不向き」があります。 また、「自分らしさ」には個性が重要だと私は思うので「女らしさ」も「男らしさ」も一つの個性としてとらえればいいと思います。    女子
○「男らしく」「女らしく」と無理な押しつけは当然良くないけど、ジェンダーフリーの考え方が進み すぎると、人間が持って生まれた「男・女としての個性」も否定することになる。その結果、「自分 らしく」なんて生きていけないと思う。   女子
○自分らしく生きるのは否定しないけど、脳での性差があるということがわかったのだから、男女混合 名簿や夫婦別姓などの形だけの平等や自立は早くやめてほしい。   女子
○ジェンダーフリーには反対である。 この考えは社会主義に近い強制的な平等主義で、人間そのものの存在を危うくする思想だと思う。   男子

【参考文献】

◎『ジェンダーフリーの害毒』林道義
◎『脳の性差』新井康允(共立出版)
◎『男脳と女脳こんなに違う』新井康允(河出夢新書)
◎『幼児教育と脳』(文春新書)
◎『話を聞かない男、地図が読めない女』アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ(主婦の友社)
◎「フェミニストに歪められる改正教育基本法」高橋史朗(『正論』平成十五年一月号)
◎「『両性具有への人間改造』ジェンダーフリー教育の正体」中川八洋(『正論』平成十五年二月号)
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from[http://www.jiyuu-shikan.org/teachers/hattori/0311.html ]

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