久々の更新です。私事ですが今まで勤めていた病院をやめ、新たな回復期病院に勤めることになりました。

やはり今までの病院とは考え方が違います。一つの病院にいる事は考え方も知らず知らずの内に固定されていますね…

本日の装具の選定です。

70代、女性、発症から3ヶ月ほど、下肢のBRSはⅣ、SIASは股関節屈曲3、膝伸展3、足関節背屈3でした。足関節背屈は足趾伸展の代償が強く純粋な足関節背屈は難しそうでした。

担当いわく今回の装具作成の目的は足部の内反の予防との事でした。裸足での歩行では、足部がやや内反がみられ、立脚の際には足部外側への荷重が強くみられました。また足関節が底屈しており、やや膝過伸展(実際には過伸展まではしてませんでしたが…)気味になる歩容でした。

この状態をみると、内反と底屈の制動が必要と思いましたが、担当は内反の予防だけで良いとの事でしたので、SHBのショートタイプ、さらにはMPカットを検討しているとの事でした。


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(画像はオルトップですが、ショートタイプのSHBがなかったため代用しています。)前足部がなくて、高さが低いものを検討しているようでした。

ショートタイプでは後面の高さが無い分、底屈、背屈の制動力は落ちてしまいます。その為装具を履いた際には遊脚でも底屈が生じてしまい、下腿が後傾して股関節が引けてしまっていました。
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その為底屈制動を求めるためにはショートタイプではない通常のSHBがいいと思いました。試しにこれを履いてみると下腿の後傾は抑えられ、股関節の収縮は得られるようになっていました。

これをみると、ショートか通常の高さのSHBか迷わず、通常タイプにしたくなりますが…患者さんはショートタイプではないと絶対に嫌だ!!といって拒否が強くなっていました。訓練時からショートタイプで練習をしていて検討会で急に長いものにした方がいいんじゃないか?ってなると患者さんとしてはやはり短くて見た目がいいものにしたくなりますよね。

装具は付けてもらわなければ絵に描いた餅になってしまいます。今回はショートタイプで対応することになりました。

しかし、その中でも底屈制動力を高めるため、プラスティックの厚さを3ミリから4ミリにすること、MPカットではなく、前足部まで長さを出すことを患者さんに了承を得ました。

今回の反省としてはまず、担当の内反予防という考えだけでなく、底屈方向への制動も考えるべきだったのかもしれません。そのため訓練時から底屈制動を意識して強めのものにしておくことが必要だったと思います。またクロートゥーもありフォワフットロッカーも生じていなかったのもあったのでMPカットは必要なかったかと思いました。

MPカットはフォワフットロッカーが機能しやすく、歩幅も稼げますし、靴も履きやすくなります。メリットはいっぱいあります。しかし今回の患者さんでは下腿が後傾していて、前足部荷重が出来ていないこと、クロートゥーが軽度ですがみられること、装具の剛性が弱く底屈方向の制動が出来ていないこと、背屈の可動域が低いことから、まずは前足部まであるタイプがよかったのではなかったのでしょうか。

このタイプで訓練をしていれば、検討会で出たような仕様でも受け入れは良かったかもしれません。

病院によって考え方が違うため、今まで治療用装具をどんどん作っていましたが、今回病院はあまりその考えがありません。良い悪いはそれぞれありますが、装具について考える事は今後を必要になるかと思います。

今までの経験を今後もいかせたらと思いました。