本日の症例です。
患者は80歳代の女性、転倒によるびまん性軸索損傷、軽度くも膜下出血?、急性期では肺炎あり、圧迫骨折は多数あり(以前よりあった様子)。アルツハイマー型認知症が以前よりありコミュニケーションは可能だが危険行動や迷惑行動(大声を出すなど)あり。そのため現在はミトン、抑制帯使用。
病前は円背あり、認知症ありだったが一人でトイレは行けており、介護保険サービス使用で夫と二人暮らしがなんとか出来ていた状態。
回復期入院時より麻痺は認められず、廃用、円背等のアライメント不良と認知症が問題点の患者でした。
脳画像では問題が認められなかったが、急性期入院時から脳卒中症状が見られたことからびまん性軸索損傷の診断名が下されました。
PTとしては麻痺も見られず、骨折による円背も可動性もなかったため、主に廃用した筋力を改善していくことを中心プログラムを立てていきました。
しかし38度台の発熱が続いてしまい、リハビリテーションが行えないことが続いてしまい、恥ずかしながら、気がつけば入院から三週間後の現在は入院時より能力低下が見られてしまっています。
発熱もおさまり現在はリハビリテーション再開しております。
円背もあり、かなり後方重心が強く、立ち上がりでは上肢での引っ張り、
座位では後ろに手を付かないと座っていられない状態です。
一見パーキンソン病と思えるほど後方重心が強くなっており、これは検査した方がいいか?とも思いましたが、短期間で症状が強くなっていることから考えてもパーキンソンニズムの影響よりは廃用の影響が強かったと考えます。
現在は後方重心をなんとか改善させることが必要と考えています。またなるべく座位時間、立位時間を長くとり廃用改善に努めることが必須です。
この姿勢を見ると、円背もありますが完全に後方重心に慣れてしまっていました。前方に重心移動をすることに対しては強い抵抗感を感じます。そのため、立たせようとすると、重心を後方に残したまま引っ張りで立ち上がります。
この方にはまず座位で後方に残っている重心位置を足部方向に移動事が必要です。
再開したリハビリテーションではまず、座位で前方リーチ(輪入れ)、足部方向に手を持っていくこと(もちろん、痛み等が出ない範囲で)、を行なった後でベットの高さを調整した立ち上がり、立位での前方重心移動を行なっいました。しかし座位でも、立位でも前方に重心を移動することを非常に嫌がり、怖がることが多くなかなか思い通りの動作に繋げられませんでした。
そのため前方に机などを置いて前方に倒れない。支えがあるというアフォーダンスを与えることでスムーズに重心移動が行えるようになりました。
今回の症例にの反省は廃用をさせてしまったことが大きな問題だと思います。改めて高齢者に対しての活動量の大切さを学びました。