「お探し物は図書室まで」青山美智子

 



2021年本屋大賞受賞作。初めて読む作家さんでした。

本当に、本屋大賞はハズレなし!何を読もうか迷ったら、本屋大賞受賞作をお勧めしたいです。

 

内容はこんな感じ。

お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。
彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。

仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。「本を探している」と申し出ると「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内してくれます。

狭いレファレンスカウンターの中に体を埋めこみ、ちまちまと毛糸に針を刺して何かを作っている司書さん。本の相談をすると司書さんはレファレンスを始めます。不愛想なのにどうしてだか聞き上手で、相談者は誰にも言えなかった本音や願望を司書さんに話してしまいます。
話を聞いた司書さんは、一風変わった選書をしてくれます。図鑑、絵本、詩集......。

そして選書が終わると、カウンターの下にたくさんある引き出しの中から、小さな毛糸玉のようなものをひとつだけ取り出します。本のリストを印刷した紙と一緒に渡されたのは、羊毛フェルト。「これはなんですか」と相談者が訊ねると、司書さんはぶっきらぼうに答えます。 「本の付録」と――。

自分が本当に「探している物」に気がつき、
明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。

 

中でも気に入った文が

…本も、そうなの。作り手の狙いとは関係のないところで、そこに書かれた幾ばくかの言葉を、読んだ人が自分自身に紐づけてその人だけの何かを得るんです。(313ページの小町さんの会話より)

 

そう!まさにそう!と膝を打った名文。

 

だから、私は読書感想文を書いている。

その本から得た何かを、忘れないように。読了後にふと感じたことに、もっと深く考えるために。

 

この本を読んで思ったことは、

「素直な人は伸びる」ということでした。

 

この本に出てくる人たちは、最初は卑屈になったり自分に自信がなかったりするけれど、みんな素直に小町さんの言うことを聞き(というか、薦めてくれた本を読み)、そして自分の気持ちに素直になっている。

自分の気持ちをごまかしたり、蓋をしたりしているうちは、芽は出ない。

 

本当にしたいことってなんだろう。別に他人からどう思われてもいいじゃない。視点を変えてみたら見え方が変わる。もっと俯瞰的に自分の状況を見て。

 

そんなことが伝わる本。

 

本書の中ではいろいろな実在する本が紹介されていたり、アニメやマンガのタイトルが出てきたりするのも、知っていると面白い。こういうところで、あぁ、教養って大事だなと思わされる。。

 

5話編成なんだけど、実は1話目があまり私の中ではヒットしなくて、そこでやめちゃおうかなって思っちゃったんだけど、全部読んでよかった!と思っています。

いろんな世代の主人公が出てくるので、どこかに自分に重ねられる人や共感できる人が出てくるかも…。

特に、画家志望くんの素直さと、ワーママの切ない気持ち、定年後のお父さんの話には何度か涙腺が緩みました。

 

自分の仕事に誇りを持てない人も、読んだら心構えが変わるかも!??

 

何も探していない今の自分がすごく恵まれている状態なんだなぁと再確認することにもなりました。

私自身が結構、ケ・セラセラで流れに身を任せて生きているので、そんなに人生で悩むことがないからかもしれないけれど。

そして、これまで何もこだわりなくやってきたことでもすべて、今の自分を作っている大切なものだと、この年になると思います。この道一筋の人がいてもいい。私みたいにクラゲのように流されて生きていてもいい。

ただ、その時々に真剣に向き合うことは大切だなと。

 

他の人の感想も気になるところ…

よかったら、読んでみてください!