読書感想文です!

 

杏ちゃん主演の映画「かくしごと」の原作「嘘」

 

 

 

少年と千紗子と認知症の父。嘘から始まった生活は新しい家族のかたちを育んでいくが、やがて破局の足音が......。感動&衝撃の家族小説。

 

映画化されるということで、なんとなく、読みながらも主人公=杏で頭の中で再生されていく…笑

逆に言えばそれほど同時進行で頭の中で映像化できてしまうほどの描写。

どの登場人物も、それはそれは人間らしくて、どの登場人物にも感情移入できてしまう。

なかなかこんなに胸に渦巻く黒い感情を言葉に出して吐き出すことって対外的には少ないと思うんだけれど、この小説は登場人物がほぼ親友と家族なこともあって、遠慮のない言葉が飛び交う。

 

父と娘の確執、父を許せない主人公(娘)の気持ち。

2/3くらいまでずっとそのペースで行くけれど、後半1/3の、主人公の心情変化に、また惹き込まれる。

 

高齢化社会で認知症と向き合うことが他人ごとではなくなってきている時代に、認知症患者側からの苦悩や、医師の解説もあり、「病気だから」と子どもに説明するシーンからも、認知症への理解も深まる一冊。

 

破局の足音、って書いてあったからどうなるのかと思ったけれど、最後はとても気持ちの良い終わり方でした!

 

愛情表現って、難しいよね。

特に日本人にとっては。

子どもを幼いときに事故で亡くした主人公の、受けた愛。父からは愛されてなかったと思っていた。母の大きな愛に母を亡くしてから気づく。受け止めることができなかった夫からの愛、亡くしてしまった自分の子への愛。

それらがあったからこそ、主人公は少年にきちんと言葉で「愛」を伝えることができたのだと思う。

そして、愛されていなかったと思っていた父からの愛を、思わぬ形で目にすることになり、、、

愛は人を成長させる。強くする。

 

頑固で融通が利かないと愚痴っていた父の性格そのままを受け継いでいることを感じさせる終盤のシーンでは、見えないところで親子の絆を感じさせられる。

 

映画も観てみたいなと思いました!小説の映画化って、本を読んで自分の作り上げたイメージと違ってちょっと違和感があることも多いけれど、これはきっと、そんなに違わないんだろうなって勝手に思ってる。

 

最近、「親子の愛」的な物語に当たることが多いなぁ。小説って出会いだと思っているので、次の出会いを楽しみに…。

 

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