数年前に話題になった本でしょうか・・・?

受験シーズンだからか、本屋さんの目立つところに置いてあって、初めて手に取りました。

 

一気に読んだけど、うわ~~~消化できないくらい重い!!

 

中学受験の話です。

小さい頃から「できたお子さん」を持つ親の、謙遜しながらもまんざらではない気持ち。

相反する価値観の義理の両親と実の両親、どちらにも嫌悪を示しつつも、どちらにもなって揺らいでいく。

そんな主人公の母親に、読者はイライラさせられる。

ママ友同士の情報合戦、慰めあい、自分よりできないと思っていた子の台頭。

 

「息子が通いたいっていうから~」と、いかにも子どもの意思のように話す場面は、私自身にも重なる。

 

受験に限らず、この手の話はピアノでもよく聞く気がするんだけれど。

ピアノを始めたころは、弾けるようになるのが嬉しかったはずなのに、親からの「練習しなさい!」が嫌でピアノ自体が嫌いになってしまう経験を持っている人は、中学受験経験のある人より多いだろう。

ピアノはカンニングのような誤魔化しができないからまた違ってくるけれど、「中学受験」という枠だけに固執して「勉強だからだよね、かわいそう」って思う人にはピアノも同じようなもんだよと言いたい。

 

うちの子たちはほんと、この主人公の子とは違って最初から「よくできる子」では全くなかったため、「あぁ、よくできる子を持つ親も、それはそれで大変なんだな」と思ってみたり。

 

よくSNSでは「小4までの成績なんて当てにならない」って言われてるけど、まぁ確かにそうなんだよねとも思ったり。

 

それにしても、本書で一番イライラしたのは夫(父)ね!!!

急に口出して参戦してきたと思ったら、教育虐待して、それを止めない母親もどうかと思うし、「二月の勝者」の島津君のことを思い出しつつ、「勇者たちの中学受験」でも似たような話があったなぁと思いだして、父親が急に参戦するといいことなんて全くないんだなと思いました。(最初から関わっている場合は良いと思う。)

成績が下降してきてから急に出てきて、あれこれ指図して、その全員が、今まで育児にあまり参加して来なかったタイプだからこそイラっとするなぁ。

そんな「いいとこどり」みたいなの、育児では無理ですからね!

しかもその全員が子どもの成績が上がったら「俺の手柄」って思ってるところがまた間違ってる。

自分の過去やコンプレックスや期待や・・・そういうものを、息子に投影するのはやはり同姓だからなのか。

 

子どもに関わる仕事をしていることもあり、いろんな家庭を見ていて思うけれど

子どもは親に喜んでもらいたいのだ。

特に幼い時ほど。そして、個人的な意見では特に長子ほど。長子がよくできた場合、その下の子も。

親に見捨てられる、絶望されること、これは子どもにとって一番避けたいことであり、だからこそ虐待をされていても親を信じている。親が自分を愛してくれないのは、自分が悪い子だからだ、と親の方を正当化する。それは親の価値観の押し付けだったりするのだけれど反抗期前の子どもにはそんなことは分からない。

親の笑顔が見たいから、頑張る。わが子たちにも思い当たる節がある。

人はそもそも「ありがとう」って言われたい生き物だと思っている。それこそ、自分の存在を認めてもらえる言葉だから。

 

だからこそ、親は、子どもを「自分とは違った人格を持った一人の人」として尊重しなくてはいけない。

もちろん、幼いうちはもちろんのこと、結構大きくなってからだって、親が見せてあげない世界を子どもが自分で知っていくことは難しい。環境による、と言われるかもしれないが、その環境を用意することだって親ならできる。

 

「お勉強さえしていれば、お母さんは喜んでくれるから・・・」って感じの子を知ってる。まだ4歳くらい。

当然、できるときはお互い気持ちが良いが、うまくいかない時はお互い地獄だろう。

お母さんはまだ4歳の娘に対して「うちの子、まだ〇〇も△△もできなくて」と、当然その年齢ではできないことを持ち出して謙遜する。いや、謙遜ではなくて本当にやらせているんだろう。そのくせ「公文ではもう2学年上のお勉強をしているの」と自慢する。お母さんから出るセリフは、「子どもがやりたいっていうから」

いや、子どもは冒頭のように「お勉強さえしていれば、お母さんが喜んでくれるから」平穏な時間を生み出す方法として「お勉強したい、好き」と言っている。これって言わせているってことだけど?当人はどちらも気が付いていない。

そしてひずみが、親が見ていないところで出てくる。

問題行動、暴力暴言、本当はもっとも安心できる場所であろう家が、そうではないことの現れ。

切ないけれど、本人たちが気付くしかない。

 

あの東大に4人を合格させたという佐藤ママの本も読んだことがあるけれど、完全に「親がこんなに自分たちのために頑張ってくれているんだから自分たちも頑張らないと」と思わせた親の戦略勝ち(と、そこまでの親子関係や子の性格)だなぁとゾクッとしたことがあります。そしてそれを本人たちも美談だと思っているところ。

問題集を全部コピーして、小さい図の問題は、書き込みしやすいように拡大コピーして、大きく式が書けるように一問ずつノートに貼って。すごい内助の功。

もちろん、ノートの書き方や勉強の効率的な方法なんて、小学生が分かるわけがないから教えるのは当然良いことだと思うんだけれど・・・。

こういうことをやっている人たちと、超難関校を受験する人たちは戦っているんだな(いや、全員やってるのか?)と、本当にゾクッとしました。

 

 

おっと、脱線しましたね。

話を本書の読書感想文に戻しましょう。

 

 

ネタばれだけど、本書では無事合格して終わるけど、読了感すっきりしないなぁ~。

しかし読み物としては成功しているんだと思う。だって一気に読めるくらいなんだから。つまんないと読めない。

なんだかんだ嫌悪しながらも、読んでしまう。

 

息子が5年生でちょうどこの翼君と重なるんだけど、いるんだよね、塾のテストのために学校休ませてるご家庭。(しかも当然上位クラス)

中学受験の東京のリアルを、しっかりと描いていると思います。

信じられない、って人は見てみるといい。

中受ブログや掲示板に夢中になっちゃう親、でも現実では言えないからそういうところでお付き合いするしかないのは現状のX(旧Twitter)でも嫌って程目にする。

 

ほんと一人っ子だからこそできることだと思うし、逆に一人っ子だからこそこんなに期待をかけすぎちゃうのかもだし、その両方で私は自分が3人兄弟でよかったなと思ったのでした。

 

 

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