おれがさいしょに
昨日は私の誕生日だったのだけれど、全蔵はその日を挟んで数日、忍の方の仕事が入ってしまっていた。
ほんとは祝って欲しかったけど、こればっかりは私のワガママを通すことは出来ない。
そのことを全く気にしていないところを見ると、きっと全蔵は私の誕生日のことなんてすっかり忘れてしまっているようで、それがまた悔しかった。
それなのに、夕方にひょっこり顔を出して。
「思ったよりも早く片付いてな。」なんて、普通に部屋に上がってきて。
少しばかり不貞腐れていた私は、現金にも嬉しくなってしまって、「ご飯にする?お風呂にする?それとも、ア・タ・シ?」なんて、いつもと同じようにフザけてみたら、てっきりいつもと同じように呆れられるものだと思っていたのに。
「汗臭ェから、先に風呂。その後、お前な。」
なんて、超マジ顔で答えられてしまって。
「え・・・本気・・・?っていうか、え?ちょ、えええええ!?」
動揺した私にかまいもせず、全蔵はほんとにお風呂場に行ってしまって。
早々に上がってきたと思ったら、ご飯の支度をしていた私を抱え上げ、さも当たり前のように有言実行をしてしまった。
汗臭いから・・・と、お風呂に入ったのに、全蔵も私もすっかり汗まみれになっていて、シーツが濡れてひんやりするのを心地よく感じるくらい、身体が火照っていた。
「ねぇ、全蔵・・・?」
細いながらもたくましい腕を枕に、まだ息が弾んでいる全蔵の顔を見上げた。
「・・・何だ?」
滅多に見ることの出来ない瞳が、私を捕らえる。
「何かあったの?」
「・・・何でそう思うんだ?」
「いや、だって・・・」
何て言ったらいいのかよくわからないけど。
いつもより、怒っているというか、何かにムキになっているというか・・・
「機嫌悪そうに見えるから・・・」
「・・・そうか。」
ちょっと考えるような顔をした後、大きく深呼吸して息を整え、掻き上げられた前髪を下ろす。
「すまねぇな。」
「え・・・?」
「別に、何かあった訳じゃねぇんだがな。苛立ってる・・・のは認める。」
「もしかして、痔が悪化したとか?」
「違ぇよ!」
思わずこちらを向いてツッコんだ全蔵が可笑しくて笑ってしまった。
そんな私を見て、咳払いを一つすると、また天井へと向き直る。
「お前、今日何人に言われたんだ?」
「へ?何を?」
何のことだかさっぱりわからず、顔を覗き込んで聞き返す。
それが嫌だったのか、全蔵は反対側へと顔を背けてしまった。
「だから・・・今日、お前の誕生日だろ。“おめでとう”って、何人に言われたんだ?」
「え?あ・・・えっと・・・友達からメールが来てたのと、家族から電話が来たのと・・・」
指折り数えていると、それを遮るようにまた質問された。
「じゃあ、一番最初に言ってきたのは?」
「最初・・・?確か、地元の友達・・・」
「・・・・・・が、・・・しょに・・・」
「え、何?」
「・・・俺が、最初に言いたかったつったんだよ!」
顔は相変わらずそっぽを向いたままで、ごにょごにょと独り言を続けている。
「今日だけは空けといてくれつったのに、そんな時に限って急な仕事が入りやがって・・・急いで終わらせたけど、結局もう夜じゃねぇか・・・」
子供のように拗ねているのが可愛くて、頭を撫でてあげるとようやくコッチを向いてくれた。
「全蔵、ありがと。って言うか、全蔵が私の誕生日覚えててくれてると思わなかったよ。」
「・・・バーカ。俺ァそういうことはキッチリ覚えてるタイプなの。」
「何か、色々と考えてたくれたみたいで嬉しかった。」
「考えすぎて、痔が悪化するかと思ったぜ。」
「あははは!」
「笑い事じゃねぇよ・・・ったく。・・・とりあえず、今更だが遅くなっちまってすまなかったな。」
「うぅん。誕生日覚えててくれたし、仕事も早く終わらせようとしてくれたみたいだし。ほんとに、嬉しかったから。」
「・・・そうか。」
胸に顔を埋めると、ギュッと抱きしめてくれる。
そんな全蔵が愛おしくなって見上げると、口角の上がった口元がゆっくりと近付いてきた。
「・・・誕生日おめでとう。」
「ありがとう・・・」
そのまま角度を変えて何度も落とされる口付けに、意識がぼんやりとしてくる。
それに流されまいと全蔵に強くしがみつく程、更に深く激しく絡み合う。
そして、私の理性も快楽の波へと飲み込まれていったのだった。
カーテンの隙間から差し込む朝日の眩しさに、薄っすらと目を開ける。
ふと視線を感じて隣を見れば、いつから起きていたのか全蔵と目が合った。
「ん・・・おはよ。もう起きたの?」
「おはよーさん。ちょっと前に、な。」
「・・・何?私の顔に、何か付いてる?」
ゴシゴシと擦って見せると、全蔵は笑った。

「そこ、シーツの跡付いてるぞ。」
「え、嘘!?」
慌てて鏡を見に行こうとする私の手を、全蔵が引っ張った。
「はは。冗談だよ、冗談。・・・で、今日はどうするんだ?」
「あ、うん・・・・そうだなぁ・・・」
「今日は・・・って、まぁいつもだけどお前の言うこと全部聞いてやるから。」
「・・・どんなことでも?」
「どんなことでも、だ。」
「じゃあ・・・今日は、全蔵とずっと一緒にいる。」
「あ?そんなのいつもと一緒じゃねぇか。」
「出掛ける時も一緒だし、お風呂も一緒だし・・・トイレも一緒!」
「ちょ、ちょっと待て!トイレは・・・トイレだけは勘弁してくんねぇか?」
「・・・どんなことでも言うこと聞いてくれるんでしょ?」
「い、いや・・・そうだけど・・・さすがにトイレは・・・な?・・・って、ねぇ!聞いてる!?」
全蔵は、“おめでとう”の順番を気にしていたけど、私にとってそれは大したことではなくて。
何番目でも、全蔵が言ってくれるのが一番嬉しいし、全蔵が隣にいてくれること、全蔵の隣にいられることが何よりも幸せなのだと思う。
「とりあえず、お風呂入ろっか!」
「いや、それはいいけど、トイレの件だけは考え直してくれ!」
懇願する全蔵を尻目に、私は大きく伸びをして立ち上がった。
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はい、ではでは・・・
ナツメさん!お誕生日おめでとうございま・・・したー!←
自分、ナツメさんの誕生日を当日に祝えたことがない気がする・・・orz
ほんとに毎度毎度遅くなってしまってすいません(´・ω・`)
ちょっとした駄文をつけるはずが、またしてもこんなに長く・・・
あの、読み飛ばしてくださって全然おkですのでw←今更だろ
ナツメさんには、今まで数々の旦那(←)をプレゼントしていただいてたのですが、そういや自分は銀ちゃんしか贈っていないなぁ・・・と思いまして、今回は全蔵を贈らせていただくことにしましたw
アニ銀で見たばかりだというのに、全蔵の口調がなんかあやふやになってしまって・・・こりゃ、そのうち全蔵強化月間でもやらなければいけないな!と思いました(作文)
事後(←)のシーンにしようと思って、こんな感じになったんですけど、いざ駄文を付けてみたら変な部分の挿絵になってしまいましたw
おかしいなぁ・・・どうしてこうなった/(^o^)\←またか
髪型はオールバックの方がいいかなぁ・・・とも思ったんですけど、そこはナツメさんだけの秘密と言うことで、今回はあえて隠しておきましたw
やっぱ、素顔は自分だけで楽しみたいですからね(´∀`)←
後で改めて、お祝いの言葉とノア画をメッセさせていただきますので、届いた瞬間に破棄してくださいませ(゚∀゚)←ドMか
ではでは、ほんとにほんとにおめでとうございました!
ナツメさんにとって素敵な年になりますことを願っておりますっ!
noah@久々に何か書くと楽しい。・・・書けてないけどな!←