sweet birthday
「誕生日パーティーすっから、明日万事屋集合な。」
そんな電話がかかってきたのが、昨日の夕方。
てっきり忘れていると思っていた・・・と言うよりは、私自身忘れてしまっていて、少し強引なお誘いに勢いで「うん」と言ってしまったのだけれど、改めてカレンダーを確認するまで誰の誕生日なのかを把握できていなかったくらいだ。
好意に甘えたいのは山々だけど・・・万事屋の家計が火の車なのは十分理解している。
「わざわざパーティーなんてしてくれなくても、祝ってもらえるだけで嬉しいから・・・」
心配と本音の入り混じった言葉は、またしても強引なお誘いに遮られた。
「俺が祝ってやるって言ってんだから、大人しく祝われとけばいーんだよ。じゃ、明日な。」
言葉を返す前に電話が切れてしまって、戸惑ったのはほんの一瞬。
受話器を置いた時には、既に顔のニヤけは治まらず、逸る気持ちを抑えきれずにクローゼットとにらめっこを始めていた。
いつもより長くお風呂に入り、いつもより念入りに肌の手入れをして。
いつもより早く布団に入ったけれど、結局眠りに付いたのはいつもよりずっと後のこと。
寝不足で薄っすらと付いてしまったクマをどうにか隠して、出かける直前まで悩みに悩んで選んだ服を着て。
今にもスキップしてしまいそうな足を落ち着けながら着いた万事屋の階段の下で、大きく一つ深呼吸をした。
玄関前で、今一度鏡をチェック。
少し乱れた髪を整えて、ゆっくりとチャイムを鳴らした。
少しして、バタバタと足音が聞こえてくる。
「新八くんかな?」と思っていたら、開いた戸の向こうには銀さんがいて、私を見るなりニヤっと笑って
「お、来たか。まだ準備終わってねぇから、座って待っててくれや。」
と言いながら、私を招き入れる。
「お邪魔しまーす。」
靴を揃えて向き直った時、何だかいつもと雰囲気が違うことに気が付いた。
私が来ると、快く出迎えてくれる新八くんと、手土産を覗きにくる神楽ちゃんの姿が見当たらない。
「・・・ね、銀さん。新八くんと神楽ちゃんは?」
「んぁ?あぁ・・・今日は万事屋が休みだから、お妙と3人で買い物行くらしいぞ。」
珍しく2人きり・・・という状況に、またニヤけがとまらなくなってしまって、悟られまいと咳払いをしてみたけれど、銀さんにはお見通しだったらしい。
「何ですかァ、その顔は?銀さんと2人っきりが、そんなに嬉しいんですかァ?」
「う、嬉しいに決まってるでしょ!」
照れ隠しに鼻をギュッと摘まんでやると、銀さんの頬もちょっとだけ赤く染まっているようだった。
「・・・で、準備って何してたの?私も手伝うよ?」
「いーって。お前の誕生日なんだから、大人しく座ってりゃいいんだよ。」
そう言って、私を無理矢理イスに座らせると、銀さんはキッチンの方へ向かった。
時々聞こえるカチャカチャという音を気にしながら、手持ち無沙汰で積み上がったジャンプを読んでいた私の元に、銀さんが戻ってきたのはしばらく後のこと。
「ちょっと、味見してくんねぇか?」
「味見・・・?」
キッチンへと近付くほどに濃くなる甘い香りは、どうやら錯覚ではなかったみたいだ。
「わ・・・ケーキ・・・!」
大きなスポンジの間にはイチゴがたくさん挟まっていて、後は生クリームを塗るだけの状態。
ボールの中にはたくさんの生クリームが泡立てられていて、それが香りの元なのだと気付いた。
「美味しそ~!」
「銀さんお手製なんだから、美味ェに決まってんだろ?」
得意げに微笑む銀さんが可愛くて、思わず抱きついてしまう。
「・・・っとと。それは後な。今はコッチの味見してくれや。」
目の前に泡立て器が差し出されて、味見を促される。
行儀が悪いと思いながらも、指で掬い取って一口舐めてみた。
「ん・・・うん!ちょうどいい甘さ!」
「そうか。どれ・・・ちょっと、俺も・・・」
てっきり泡立て器へと伸ばしたものだと思っていた手は、それを通り過ぎて私の手を掴んでいた。
そしてそのまま自分の口へと持っていくと、手にまだ残っていたクリームをペロリと舐め上げる。
「んー・・・ま、こんなもんか。」
舌が触れた部分が、じんわりと熱を帯びる。
そんな私におかまいなしで、銀さんは独り言を続ける。
「あー、でもなぁ・・・んー・・・ちょ、もう一口。」
「え?」
「だから、もう一口。」
「あ・・・うん。」
もう一度クリームを掬うと、待ちきれないとばかりに銀さんの手が私の手を捕らえる。
クリームは冷たいはずなのに、指はじんじんと熱い。
銀さんの口元へと近付けば近付くほど、余計に熱くなっていく。
「やっぱもうちょっと甘い方が・・・って、オイ?」
その光景に見とれていた私の顔を、銀さんが覗き込んだ。
「あ、え・・・な、何?」
少し慌てた私を見て、またニヤりとした表情になる。
「もう一口。」
「ちょ、銀さん!クリームなくなっちゃうって!それに、味見なら自分で・・・」
言葉は、そこで途切れてしまった。

さっきまでとは違い、クリームのあまり付いていない状態で指を舐められ、舌の感覚が直に伝わってきた。
「銀さん・・・」
「・・・もしかして、欲情しちゃってんの?」
意地悪く緩んだその口で指に残ったクリームを綺麗に舐めとると、私の手を引いてキッチンを出る。
「あ、あれ?ケーキは・・・?」
「お前のそんな顔見て我慢出来るほど、銀さんは大人じゃありませーん。」
「え・・・そんなに顔に出てた・・・?」
「ほんとは食後のデザートにするつもりだったのによォ・・・メインディッシュになっちまうじゃねぇか。」
「・・・何の話?」
襖の前でくるりと振り返った銀さんに
「お前のコトに決まってんだろ!」
額を小突かれてしまった。
「終わったら改めてケーキでお祝い、な。」
嬉しくなって胸元に飛び込むと大きくて温かい手が私を包み込み、耳元で優しい声が「誕生日おめでとう。」と囁いた。
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はい、という訳で・・・
カホさん!お誕生日おめでとうございま・・・した!←
すいません。
またしてもものっそ出遅れてしまいました・・・(;´Д`)
ごめんなさいぃぃぃ・・・
最初はこういう構図じゃなかったんですけど、最近カホさんと生クリームプレイの話で盛り上がったので、ちょっと変えて生クリームプレイを絡めてみましたwww
作ってるうちに、「こういう設定で~」なんて妄想してたものを、オマケとして付けてみたんですが。
思ったより長くなってしまって、話もイマイチまとまってなくて・・・というノアクオリティですみませんorz
つーか、何かもうどっちの誕生日なんだかわかんなくなっちゃいましたねw←笑い事じゃない
銀ちゃんの表情も、ドSっぽさを出そうと思ったらなんだか間の抜けたような顔になってしまって・・・どうしてこうなった/(^o^)\
もちろん、お祝いの気持ちだけはめがっさ込めさせていただいてますので、それだけでも受け取っていただけたら嬉しいですw
後で改めて、お祝いの言葉としょんぼりノア画をメッセで贈らせていただきますw
カホさんが生まれてきたこと。
そして、カホさんと出会えたことに感謝です(´∀`)
ほんとにほんとに、おめでとうございましたっ!
noah@少しの間、出遅れ祝誕!続きますw