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から。
紡ぐ絆 (後編)
どのくらい歩いたのか・・・
さすがに少し疲れて、休む事にした。
その場に座り込むと、フワフワとした触り心地の気持ちのいい床。
周りに人はいないし、汚れていないのをいい事に、寝転がってみた。
「あ~、気持ちいい・・・」
背伸びをしながら天を見上げると、距離感がおかしくなるくらいの白が広がっていて、どのくらいの高さがあるのかも全くわからない。
進んでいる道も、どこまで続いているのか・・・
「も~、どこまで歩けばいいの~?」
泣き言を言っていた時だった。
「ははははは!何じゃ、疲れたんか?」
ずっとずっと、聞きたいと思っていた声が聞こえた。
ずっとずっと、見たいと思っていた顔が見えた。
「っ・・・京次郎さん・・・」
「怖く、なかったか?」
「・・・・・・はい。」
「迷わんかったか?」
「・・・・・・はい。」
「寂し・・・」
「寂しかったです・・・!」
起き上がって、京次郎さんの胸に飛び込んだ。
「っと・・・はは。すまん、のう。」
飛び込んだ拍子に、バランスを崩した京次郎さんと床に倒れた。
「京次郎さん・・・・・・京次郎さん・・・」
「何じゃ。・・・泣いとるんか?」
「泣いて・・・ません・・・」
ボロボロと涙を零した私を見て、名前を呼びながら頬に手を沿え、優しく涙を拭ってくれた。
「よう、来てくれたな。」
「京次郎さんが、呼んでくれたんですか?」
「さぁ?どうじゃろうな?」
目の前の京次郎さんは・・・あの日、最後に見た笑顔とは違って、悪戯っ子のように笑っていた。
「ふふ。・・・何か、久しぶりですね。」
「そう、じゃのう。・・・・・・ワシに言いたい事、山ほどあるんじゃないんか?」
「・・・ですね。でも、あの日・・・いっぱい、言っちゃいましたから。」
「・・・そうか。なら、ええ。」
頭をグイッと引き寄せられ、京次郎さんの肩に顔を埋める体勢になった。
京次郎さんも、私の肩に顔を埋めている。
祝言を挙げた日、付けられた噛み痕。
薄っすらと痕は残っていたけど、もうすっかり痛みはなくなっていたはずなのに。
京次郎さんが触れた瞬間、ズキズキと鈍い痛みが走った。
「まだ、残っとったか。」
「・・・はい。ほんとに、痛かったんですよ。」
「ははは。すまんかったのう。」
「・・・・・・また、付けてくれますか・・・?」
一瞬、驚いた顔をしたけれど、フワッと笑った京次郎さんは、優しくて温かいキスをくれた。
重なった肌も、すごく温かくて・・・今、ここにいる京次郎さんは本物なんだと実感した。
寝転んだまま、京次郎さんの顔を見上げた。
気持ちよさそうに寝息をたてながらも、背中に回された手は、きつくきつく私を抱きしめてくれている。
この幸せな時間も、きっともうすぐ終わってしまうんだろう。
そしたら、また私は・・・
堪らなくなって、京次郎さんの腕にしがみついた。
「ん・・・どうした。子供みたいに。」
「京次郎さん。・・・痕、付けてください。」
あの日はあんなに乱暴に噛み付いたのに、今日はそれをしてくれない。
労わる様に優しく抱くだけで、私が京次郎さんのモノだという印を付けてくれないのだ。
「・・・痛かったんじゃろ?」
「いいんです。私は京次郎さんのモノですから・・・」
「は・・・はは!何言っとるんじゃ。あんなモン、もう必要ないけぇの。」
「どうして!私、ずっと京次郎さんの・・・」
「あんな痕じゃのうても、ワシとお前が夫婦だと言う証はあるじゃろ?」
「あ・・・」
写真立ての裏にしまってある、婚姻届。
京次郎さんは、それの事を言っているんだと思った。
「どうしても、お前との繋がりを持っておきたくてな。・・・我ながら、卑怯な男じゃと思うわ。」
自嘲する様に、京次郎さんが笑う。
「あれのせいで、お前が苦しむかもしれんと思ったんじゃが・・・・・・ワシの事を忘れんでいてくれるんなら、それもええかと思ってしまってのう。ほんと、卑怯な男じゃ。」
「京次郎さん・・・・・・私が、京次郎さん以外の人のところになんて、行く訳ないじゃないですか。あんなに、京次郎さんを想って・・・あんなに、泣いたのに・・・・・・今でも・・・こんなに、大好きなのに・・・」
今日、何度目かわからない・・・けれど、久々に呼ばれた名前は、何だか妙にくすぐったくて、2人して笑ってしまった。
「あぁ、ずっとこうしていられんもんかのう。」
「ふふ。・・・まだ、少し先になりますけど、会いに来ますから。」
「・・・おぉ。」
「その時は、もう1度・・・」
「おぉ。次は、ちゃんと祝言あげるけぇの。」
「はい。」
「じゃあ・・・身体、大事にな。」
「・・・はい。」
「後の事は、お前に任せるけぇ・・・俺の分まで・・・・・」
「え?何?よく、聞こえ・・・」
目を開けると、白い天井が見える。
だけど、さっきとは違って、しっかりと天井の高さがわかった。
「・・・お。目、覚めたか?」
声のした方を見ると、万事屋さんが心配そうに見下ろしていた。
「万事屋さん・・・・・・あれ。私、どうして・・・」
「ぶっ倒れたんだよ。」
「倒れた・・・?」
「軽い貧血らしいから、心配はねぇって。」
「そう・・・ですか・・・」
「ったく、驚かせやがって。具合が悪いなら、言えって言っただろーが!」
「すいません・・・」
「・・・はぁ。でもま、赤ん坊も無事みてぇだし、何事もなくてよかったよ。」
「はい。ありが・・・・・・へ?今、何て?」
「あ?何事もなくて・・・」
「じゃなくて、その前!」
「赤ん坊も無事・・・」
「赤ん坊って・・・・・・私の・・・ですか!?」
病院だという事も忘れて、大声で叫んでしまった私に、他の患者さんからの視線が突き刺さった。
「馬鹿!お前、声でけぇよ!」
「す、すいません・・・」
謝りはしたものの、正直それどころではなかった。
「・・・やっぱ、気付いてなかったか。」
「あの・・・私のお腹に、子供がいるんですか?」
「らしいぞ。3ヶ月だってよ。」
「私の・・・・・・私と、京次郎さんの・・・」
「・・・おめっとさん。」
万事屋さんの笑顔につられて笑い返したけど・・・
嬉しいと言うか、驚いたと言うか。
何をしたらいいのか、何て答えたらいいのか。
わからないままに話は進んでいった。
「旦那に、会ってきたみてぇだな。」
「え・・・あ、はい。」
「さっき、寝言で名前呼んでたぜ。」
「そう、だったんですか・・・」
さっきまでのは・・・夢?
・・・いや、違う。
あれは、ほんとに京次郎さんだった。
出会った人たちが、どうしてヤケに身体の心配をしてくれていたのか。
そして、京次郎さんが最後に何であんな事を言ったのか。
ようやくわかった。
「そっか・・・子供が・・・」
新しい命が宿ったこの身体で、京次郎さんに会う事が出来たんだと思うと、堪らなく嬉しかった。
こんなに幸せな家族は、世界中探したって、きっと見当たらない。
万事屋さんが持ってきてくれたであろう、枕元の写真を手に取ると、笑顔を浮かべている京次郎さんに声をかけた。
「京次郎さんの分まで、愛情込めて育てますね。・・・ありがとう。あなたの奥さんになれて、私はほんとに幸せです。」
窓の隙間から吹く温かな風が、まるで京次郎さんが髪を撫でてくれるかのように、フワリとすり抜けていった。
―完―
―――――――――――――――――――――――――――――――――
―あとがき―
気まぐれ小説、第2弾でございますw
まさか、また京次郎でいくとは誰が想像出来ただろうか・・・←
最初にも書いてますが、コレはコタさん宅の【はじめての恋 】の設定をお借りしておりますw
後日談みたいな感じで、読んでいただければいいかなぁ・・・とw
えぇとですね・・・実は、自分。
いわゆる『死ネタ』と言うものが、大の苦手でして・・・
読む分には全然いいんですけど、書くのはどうしても無理なんですよねー。
何て言うか・・・自分が書くと、“死”がものっそ軽いものになってしまうのでありますorz
まだまだ、日本語の勉強が足りんとです・・・。(´д`lll)
そんな訳で、既に原作で亡くなってしまってるキャラたちも、生きている設定でしか話が書けないんですよ・・・
なので、今回は個人的にツボだったお話をお借りしてきて、便乗させていただきましたw←勝手に
話としては、ありがちなベタ路線ですねw
でも、書きたかったんだ・・・!←ベタ好き
コレは、実際に夢で見たものに手を加えて書いておりますw
出てきた人は、銀魂キャラじゃないんですけどねwww
むしろ、誰かもわからないwww←え
薄っぺらな表現しか出来なくて、残念な仕上がりとなっておりますが・・・
その辺は、皆さんの妄想でカバーしていただけるとありがたいですwww
女の子が、ただ京次郎に会って・・・ってのもつまらないなぁと思ったので、4名ほどスペシャルゲストに登場してもらっちゃいましたw
名前は1人しか出てこなかったですけど、わかってもらえたでしょうか・・・?w
何せ、初書きのキャラばっかりで、口調がwww
最初に出てきた声のデカイ人は、紅桜篇でお馴染みの『村田鉄矢』ですw
口調はどうであれ、声がでかくて人の話を聞いてないようにすれば、伝わるかなぁ・・・とw←テキトー
次に出てきた眼鏡の男の人は・・・『伊東鴨太郎』ですw
唯一名前が出てきたんで、わかってもらえましたよねw
動乱編でも見てから書けばよかったんだけど、面倒k(ry←オイ
だから、ほんとに口調がわかりませんでしたwww
伊東せんせー、ごめんwww
お次は・・・『ミツバ』ですw
ミツバさんも口調がよくわかんなかったんですけど、とりあえず辛いものを出しておけば(ry←またか
で、最後。『全蔵の父』www
別に出さなくてもよかったんだけど、何か出したくなっちゃいましてwww
コレも、自分なりの全蔵愛と言うことでご容赦をwww←
皆それぞれ、お腹の子供の事を気にかけてくれていますw
もちろん、京次郎もw
京次郎の口から、お腹に子供がいることを言わせようかどうしようか・・・
散々迷った挙句、コッチを選んでみたり。
あぁ、やっぱ京次郎に言わせればよかったかもなぁ・・・←書きなおせ
きっと・・・と言うか、当然、ずっと一緒にいたかっただろうし。
子供がいてもいなくても、ちゃんと家族として過ごしたかっただろうし。
その辺の事を考えると、ものっそ切ないです(TωT)
別れ際が妙にあっさりしているのは、もちろん寂しいんだけど、またいつか必ず会えるから・・・って言う想いがあるからだと思ってくださいw
別に、手を抜いた訳じゃないですからwww
願わくば、この家族が幸せに過ごせますように・・・そう、願ってやみません。