ジェフ選手名鑑 その2
今回はガヴリエル・ポペスク
第2弾 孤高の天才パサー ガヴリエル・ポペスク
第1章 フランスの青空
98年 フランスの青空に甲高い笛の音が響いた。彼の右手にはひりひりとした、あつい感覚が残っていた。ネットと擦れあうボールの音が、彼の鼓膜にこびりつくようにのこった。ルーマニアの英雄ゲオルゲ・ハジと共に中盤を創造した25歳の若者の物語はここで一旦幕を閉じる。ワールドカップ決勝トーナメント1回戦で、彼の与えたPKにより0-1でクロアチアに敗れた。
第2章 叶わぬ願い
スペインへ渡った彼は苦しんでいた。チームを転々とするのである。後にリーガを制するバレンシアにも在籍したが彼の安住の地とすることは出来なかった。
スペインをさりルーマニアに戻った彼は復活する。国内リーグMVP級の活躍を見せたのである。まさにあの青空の下で踊っていた若者の頃のように。
02年 彼は再びあの舞台へ立とうとしていたのである。いや、立つはずだった。世論は彼の背中を押していた。しかし、代理人たちと代表監督などにはびこる権力と金の波に飲み込まれ、彼の力が及ばないところで全てが決まってしまったのである。そして願いが叶うことはなかった。韓国へ向かった彼は世界の舞台から完全に消えていた。だがある事件により日本へ向かうことになるのである。そう、あの時、自分ではどうすることも出来ない力によって降り立つことの出来なかった、あの地、日本へ。
第3章 NewWorld
日本は彼をあたたく迎え入れてくれなかった。彼は再び悩んでいた。チームに馴染めずにいた。怪我でコンデションの上がらない自分に苛立っていた。そんな彼にある男が話しかけるようになった。男はかたことのスペイン語が話せた。徐々に自分を取り戻しつつあるようだった。彼は、あの青空の下で踊っていた自分を、取り戻すために導かれたのかもしれない。