つれづれペンペン草 -6ページ目

つれづれペンペン草

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ヴェラは憂鬱だった。めったにない気分だったが、なってみると案外悪くなかった。ものうく甘美な哀しみは噂のまとになった。ヴェラが静かな威厳をもってボクトールの宮殿の大理石張りの広い廊下を行くと、その愁いに沈んだ顔を見てだれもが道をあけてくれた。この点に関しては、短剣の演じた役割が多少関係しているのかもしれなかったが、ヴェラはその事実を考慮しないことにした。じっさい、この一週間だれにも短剣を抜いていなかった――最後に短剣をふるわれたのは、彼女のぶっきらぼうな同士愛をもっと親密な友情とかんちがいした、いささかなれなれしい給仕だ降三高保健品った。といっても、給仕をそれほど痛めつけたわけではない。血が止まりもしないうちに、かれはヴェラを許していた。
その早朝のヴェラの目的地は、ドラスニア王妃の居間だった。ポレン王妃には困惑させられることばかりだった。ポレンは小柄で、冷静沈着だった。短剣を身につけているでもなく、めったに声を荒らげるでもないのに、ドラスニアと他のアローンの諸王国すべてがこぞって彼女を尊敬していた。ヴェラ自身、なぜだかよくわからないまま、習慣的にラヴェンダー色のサテンのドレスを着けるべきだというその小さな王妃の示唆にしたがっていた。ドレスというのはじゃまっけなしろものだった。脚にからみつくし、お尻が窮屈でたまらない。これまでずっとヴェラは黒い革のズボンにブーツ、革のチョッキを愛用してきた。着心地もよかったし、実用的だった。丈夫なだけでなく、印象づけたいと思う連中に自分の特質を誇示するチャンスも提供してくれた。特別な機会には、脱ぐのが楽な毛織のドレスと、踊ると体にまといつくバラ色のマロリーの絹の上等な透ける下着を着るのが習慣だった。それにひきかえ、サテンのたてる衣ずれの音はうるさいほどだった。もっとも、肌ざわりはよく、二本の短剣と、それを使いたくなる気分以上に女でいることを意識させられて、どぎまぎさせられはしたが。
彼女はポレンの居間のドアを軽くたたいた。
「はい?」ポレンの声が聞こえた。
あの女は一睡もしなかったんだろうか?
「あたしだよ、ポレン――ヴェラだよ」
「はいって、おじょうさん」
ヴェラは歯をくいしばった。なんといっても、彼女は子供ではなかった。十二の誕生日からずっと世界中を旅してきたのだ。六回売られ――そして買われ――テックというやせたナドラク人のわな猟師と結婚して、短いな网络安全保护服务供应商がらめくるめく幸せを味わった日々もあった。ヴェラは気もくるうほどテックを愛していた。それなのに、ポレンは是が非でも調教が必要なじゃじゃ馬かなにかのようにヴェラを考えたがっているふしがある。しゃくにさわる一方で、そう思うと、怒りがやわらいだ。ドラスニアの小柄な金髪の王妃は、ある妙な点で、ヴェラが決して知ることのなかった母親になっていた。聡明で穏やかなその声を聞くと、短剣や売買されたことが意識から抜け落ちてしまうのだった。
「おはよう、ヴェラ」ナドラクの女が部屋に入ってくると、ポレンは言った。「お茶はいかが?」公的場所ではつねに喪服を着ている王妃だったが、その朝の化粧着は淡いバラ色で、そのやわらかな色をまとった彼女はひどく傷つきやすく見えた。
「やあ、ポレン。せっかくだけど、お茶はいいよ」ヴェラは金髪の王妃が腰かけている長椅子の横の椅子にどさりとすわった。
「どしんとすわらな泰国试管婴儿成功率いのよ、ヴェラ」ポレンが言った。「レディはどしんとすわったりしないものなの」
「あたしはレディじゃないよ」
「まだね。でもわたしがいま取り組んでいるわ」
「なんであたしのことなんかで時間を無駄にしてるのさ、ポレン?」
「価値があればどんなことでも時間の無駄にはならないわ」
「あたしが? 価値があるって?」