「今日は朝、すごく緊張していたんですけど、1つバーディーが来てからは、すごく自分のゴルフに集中できた。最後はボギーにしてしまいましたけど、差をつけてこの18番ホールに来ることができたのは大きかったと思います。15アンダーを目標にしていたので、それが達成できて良かったんじゃないかと思います。先週の予選落ちから、1週間でこんなに変わるんだというので、自分を信じてやってきて良かったと思いますし、このタイミングで優勝できたのは大きいと思います。」 (畑岡奈紗 )

 

米女子ゴルフツアー「DIOインプラントLAオープン」米カリフォルニア州ロサンゼルス、ウイルシャーCCで行われた最終日。

 

単独トップで迎えた奈紗プロは、前半からショットパット共に好調。スコアを3つ伸ばし、後半では15番ホールでイーグルも飛び出し、終わってみれば2位のハナ・グリーンに5打差を付ける圧巻の勝利。米ツアー通算6勝目を飾った。最近では「強い畑岡奈紗」をもっとも印象付ける試合内容だったと思う。

 

この日、単独トップで迎えた日本のエース畑岡奈紗プロは、出だしの6メートルのスライスラインを読み切り幸先よくバーディーを奪うと、4番5番でも連続バーディーを奪い主導権を握った。

 

しかし、距離のある6番ミドルホールでティーショットを右に押し出し、セカンドは木がスタイミーになり、飛距離は出ず。3打目に賭けたがボールはグリーン手前に。4打目のアプローチはパンチが入ったのかピンを6メートルオーバー。何とかこれを入れてボギーで上がりたいところだが、今回のグリーンはポアナ芝で、選手の多くがパットで苦労している。しかし奈紗プロはこのスライスラインを読み切り強めにヒット。ボールは生き物のようにコロコロとカップに吸い込まれた。「ナイスボギー!」。今日の前半のターニングポイントになった。これに気を良くしたのか7番ショートホールではピン1メートルに絡めバウンスバックのバーディー。これで優勝へのレールに乗った畑岡奈紗プロはその後は殆ど「危なげのないゴルフ」を展開。

 

先程も書いたが、今回の奈紗プロには「強さ」を感じた。ショットもアプローチもパットも見ていて不安を感じさせない。

思えば、今年は先週まで、トップ10フィニッシュはなく、しかも先週の「ロッテ選手権」では予選落ち。一方の渋野日向子プロの先週の2位とメジャー「シェブロン選手権」4位という結果ばかりが目立ち、日本のエース「畑岡奈紗」は大丈夫なのか?という心配していた矢先の今週の「圧勝劇」だ。

 

先週は強い風の中での試合ということで、どちらかというと「風が苦手?」の奈紗プロにとっては、やりづらかったこともあるのかもしれないが、今週も初日、二日目と風は強かったが、それでも上位で試合をこなせたのは何故か。

 

「今週はボールの位置と、トップからの切り返しでしっかり胸を回して打つことを意識して、特に風が強くなってくると強いボールを打ちたがって手で打ってしまうクセがあるので、そこを気をつけるようにした。」 (畑岡奈紗の初日を終わった直後のコメント)

 

さて、今週のトーナメントの全体を振り返ってもっとも印象に残ったシーンがある。

 

三日目。最終組は、世界ランクNo.1のコ・ジンヨンとメジャーチャンピオンハナ・グリーンと畑岡奈紗のスリーサムで回った。

 

後半になるとさすがに、コ・ジンヨンと畑岡奈紗のデッドヒートの様相。まるでマッチプレーのようだ。16番終了時点で奈紗プロが11アンダーでトップ、コ・ジンヨン選手は9アンダーで2位。

 

そして距離のある17番ミドルホールでドラマが起きた。奈紗プロはセカンドをドローをかけピン横7メートルのグリーンのカラー。

一方のコ・ジンヨン選手は、セカンドを引っ掛けダイレクトでグリーンの左サイドのウオーターハザードに入れてしまう。

しかし、ボールは水が被っておらず、打てないこともない。しかし、足場がぬかるんでいる。しかもグリーンに乗せるにはポットバンカーのような2メートル近い壁を超えなければならない。誰もが1ペナルティーを払って後方から打つものと思っていたが、コ・ジンヨンはハザード内から直接ボールを打つことを選択した。しかし、これが「裏目に出た」打ったボールは上がりきらず壁に当たり戻ってしまい再びハザード内に。しかし再びハザードから打つも失敗。今度は水の中に入ってしまい打てる状態ではない。さすがにペナルティーを払い6打でグリーンオンするもツーパットでダブルパーの8を叩いてしまう。ここで一気に順位を下げてしまう。

 

それにしても、あのコジンヨンが何故ここまで強引にハザード内からグリーンを狙ったのか・・・まだ三日目だ。ここまで勝負をかける必要があったのだろうか。疑問が残る。

 

考えられるとすれば、今週の畑岡奈紗プロには死角がなく、そういった無言のプレッシャーをコ・ジンヨンは感じていたのかもしれない。

それ程安定した強いプレーを畑岡奈紗プロがしていた・・・・ということかもしれない。