新年を迎え2戦目。米男子ゴルフツアー「ソニーオープン」最終日。先週に引き続きハワイでの開催。以前は、「ハワイアンオープン」といい、同じ「ワイアラエカントリー倶楽部」で行われていた。日本人男子であの青木功選手が初めて米ツアーを制した大会である。

 

さて、トップのラッセル・ヘンリーに2打差の単独2位でスタートした松山英樹プロは、後半のバックナインで猛攻。7アンダーノーボギーの63で上がり、5アンダーの65で回ったヘンリーと並びトータル23アンダーで終了。優勝はプレーオフ決着となった。

 

過去の松山プロは、どちらかというと「ワイアラエカントリー」が苦手。何度か予選落ちも喫しているが、ここ最近はうまく対応している。

 

さて、前半のナインホールは、ラッセルヘンリーの独壇場。6バーディーノーボギーで24アンダーまでスコアを伸ばす。一方の松山プロも決して内容は悪くはなく3バーディーノーボギーの内容も、9番のパー5で短いバーディーパットを外したのが痛い。トップを行くヘンリーは同じ9番でイーグルを決め、この時点で19アンダーの松山プロとは5打差を付けた。

 

むしろ2位以下が1打差のだんご状態の中で、ヘンリーの「一人旅」になるのではないか・・と思われた。それほどラッセルヘンリーのゴルフは素晴らしかったのだ。

 

しかし、ゴルフは何が起こるか分からない・・・・松山プロは10番の短いミドルでバーディー。11番ショートホールも3メートルを沈めて連続バーディーで21アンダーとする。一方のヘンリーは11番でバンカーに入れ、寄らず入らずのボギー。バックナインに入り2ホールで5打差が一気に2打差に縮まった。

 

これで優勝争いは、松山プロとラッセルヘンリーに絞られたといってもいい。

 

ラッセルヘンリーにとって、嫌なデータがある。過去に6度最終組をまわり、優勝したのが1度だけ。その1度がこのソニーオープンだ。どちらかというと守りに入ると弱いタイプかもしれない。

 

そして迎えた15番ホール。松山プロは7メートルの軽いフックラインをジャストタッチで沈めバーディー。それよりも内側に付けたヘンリーのバーディーパットは惜しくも入らず。その差は1打差となった。一時5打差あったのが、15番終了時点でついに1打差に縮まった。

 

松山プロの16番の2メートルのバーディパット。これを決めれば、トップに並ぶが惜しくもカップに蹴られパー。

 

結局、勝負は18番ロングホール。

 

18番といえば、思い出すのは1983年の同大会。最終組の青木選手はトップに1打差のビハインド。バーディーでプレーオフ。しかしティーショットを右のラフに入れ2打目もスプーンでヒッカケ左のラフ。ラフからのサードショットはグリーンに止めにくい。バーディーチャンスにつけるのは至難の技。残り90ヤードのショット。青木選手はピッチングウエッジで「ボールを思い切り高く上げてグリーンに止めよう」とした。

 

ボールはなんとワンバウンドして直接カップインイーグル!この瞬間アテストで見ていたトップのジャックレナーは信じられないといった表情で呆然としていた。日本人男子が初めて米ツアーを制した瞬間はあまりにも劇的だった。

 

さて、松山プロの18番ホール。ツーオンしたが、距離は18メートルのイーグルトライ。惜しくも入らずお先にバーディーの23アンダーでトップを捉えた。一方のヘンリーも3メートルのバーディーパット。勿論、これを入れれば優勝だが惜しくも入らずパーに終わる。

 

23アンダーで並びプレーオフへ突入。

 

プレーオフは18番ロングホール1ホール目で決着。松山プロはセカンドショットをフェードでピンを狙いピン1メートルに絡めた(鳥肌が立つほどの見事なショットだった)。これを難なく沈めイーグルで優勝。形は違えど、あの青木選手と同じくイーグルで優勝を決めたのも何かの因縁か・・・

 

これで米ツアー通算8勝目。今季(2021~2022)2勝目。アジア人でツアー8勝は、韓国のK.J.チョイと並んだ。おそらく単独でトップになるのは時間の問題と思われる。

 

同じく日本人選手の小平智プロもゴルフの状態がいい。初日こそ71で出遅れたが、2日目以降64,65,65と揃えた。惜しくもトップテンは逃したが(12位T)今後に期待したい。