「今日だけで9番(ホール)を3回。すべて5I(5番アイアン)です。いいボールが打てた。私は新しいクラブをいれると勝つことが多い。バーディーがひとつもない。それでも勝てた。去年の全英女子オープンの経験が大きい。風は好きです。集中力が増すから。一日、ずっとガマンを続けてきた。最後には必ずいいことがある。」 (上田桃子 )

 

国内女子ゴルフ「パナソニックオープンレディースゴルフ」の最終日は、突風が吹き荒れる中のサバイバルゲームと化した。

 

最後に生き残ったのは、黄金世代でもミレニアム世代でもなく、ベテランの上田桃子プロだった。(通算16勝 )

 

毎週のように、若い世代の選手が優勝をしている中で、ベテランの選手がそれに「ストップ」をかけたのは大きい。

 

風の中でのプレーは、やはり「経験」も必要ということだろう・・・

 

キャディーさんは、去年の「全英女子」6位の時と同じく、辻村コーチがバックを担ぐ師弟コンビ。これも桃子プロ2年ぶりの勝利の要因となったことは言うまでもない。

 

本人も言っているとおり、この日は台風のような突風が吹き荒れる天候で、スコアを伸ばすというより、どうやってパーをセーヴするかに選手が苦労した。

 

風の影響は、ショットは勿論、パッティングにも影響する。パットしてもボールが風で流されるので、通常の芝目だけでラインの判断はできない。

 

ショートパットでも気は抜けない。アドレスをした時にもボールが動く時があった。(古江プロ)

 

また、身体も風の影響を受けるので、グラつくこともある。

 

結局試合は、5アンダーであがった上田桃子プロと大里桃子のW桃子対決。9番ホールでのサドンデスプレーオフとなったが、2ホール目で(上田)桃子プロがパーをセーヴして「決着」となった。 (本戦とあわせて3度9番ホールを消化したわけだが、(上田)桃子プロにとって、このホールはラッキーホールだったのかもしれない)。

 

また18番ホールでは、バーディーチャンスにつけながら、スリーパットのボギーを叩いた稲見プロは、プレーオフに残れなかったのは悔しいだろう。これも風の影響と思われる。

 

上位には、売り出し中の山下美夢有プロを始め、セキユウティン、原英莉花、古江彩佳、西村優菜プロらの若手がひしめいた。

 

私が注目したのは、アマチュアの岩井明愛選手の飛距離とスイングだ。彼女は双子の姉である。妹も出場していたが惜しくも予選落ちしている。まだ18歳ということで「将来性」ある選手が、またまた出てきたようだ。

 

また、セキユウティンプロもキャシャだった以前と比べ、身体がガッチリとしてアスリートらしい雰囲気になってきた。これからが楽しみである。

 

前にも書いたが、堀姉妹の妹、堀琴音プロもシード権のない「限られた試合」の中で、しっかり上位に顔を出すようになった。

 

もう「スランプになる以前」の状態に80パーセントくらい戻ったと思われる。リランキング上位を目指し試合を重ねれば、これからも上位で戦える力はある。

「ショットの調子が戻ってきていて、フェアウエイから打てるのが成績につながっている」 (堀琴音 )

 

彼女は、もともとフェードヒッターだったがドローに変えてから調子を落としたようで、現在は以前の「フェード打ち」に戻したことが好成績に繋がっているようだ。