続いて喜多方の「恋人坂」へと車を走らせた。

高台から眼下に喜多方の街並みと田園風景が一望できるスポットだ。

その景色を見た子供たちは、「木島平の我が家から見下ろす飯山盆地の風景にそっくりだ」と感激していた。

「お父さんが昔、最初にユースホステル開業を志したのが、実はこの喜多方の地やってん。」

 

景色を眺めながら、ふとそんな言葉が口をついて出た。もしあの時、木島平ではなくこの場所に宿を開いていたら、今の暮らしも、そして春花や柚花という存在そのものも生まれていなかったかもしれない。人の人生の巡り合わせというものは、本当に不思議な運命に導かれている。

夕食は喜多方ラーメンの有名店「来夢(らいむ)」へ。頼んだのはもちろんチャーシューメンだ。

 

ラーメンを待つ間、テーブルのルーレットおみくじをみんなで引いてみた。驚いたことに全員の運勢がドンピシャ。12月のヨーロッパ旅行を予言するような内容まで飛び出し、店内は大盛り上がりだ。

この奇跡みたいな結果と最高の思い出を記録に残したく、おみくじを小さな丸いカプセルへ封印した。まるで元気玉みたいなその球体を、タイムカプセルとして大切に保管しておくことにする。

数年後、またみんなで集まって開封するのが今から楽しみだ。

どんぶり一面を覆い尽くす分厚いチャーシュー。実のところ喜多方において、じっくり煮込んで口の中でほろりと崩れる「とろける煮豚チャーシュー」のスタイルを確立し、全国的なブームの先駆けとなったのがこの「来夢」だと言われている。

じっくり時間をかけて煮込まれた豚バラ肉は、スープの熱を吸ってトロトロに解けていく。お腹がいっぱいになるまでその味を堪能した。

 

 

すっかり満腹になった後は、近くの道の駅に併設された温泉施設へ立ち寄った。

暖簾をくぐって驚いたのはその入浴料だ。夕方からの利用料金は、なんと300円。いくら自治体経営の公営施設とはいえ、この物価高の時代に目を疑うほどの安さだ。

そもそも単体としての温泉施設が民間ビジネスとして利益を出すのは極めて難しく、採算度外視で地域福祉や観光振興の予算を投入して維持する自治体の割り切りがなければ、この破壊的な低価格は到底成立しないだろう。

風呂上がりの火照った体に夜風が心地よい。あとは我が家へ向かってひたすら帰るだけだ。

ハンドルを握り、暗闇の高速道路を突き進む。途中で強い眠気に襲われ、時には激しい大雨に見舞われながらも、上信越自動車道に入り、豊田飯山ICを目指して黙々と距離を消化していく。

木島平の自宅に辿り着いたのは、夜の12時ちょうどだった。

 

総移動距離、およそ1000キロメートル。茨城の海から栃木の高原、そして会津の歴史と味覚を駆け抜けた、長大で濃密なドライブ旅が幕を閉じた。

 

そしてその3日後、春花は2か月半の航海に出た。次に会うのは紅葉真っ盛りの錦秋の木島平だ。

次は何処へ行こう。。。。