朝の5分は一時間にも匹敵するという。
その貴重な登校前の朝、何とかウンコを出そうと頑張っているが起きたてではなかなか満足に出てくれない。
タイムリミットがきて、見切り発進で学校に向かう。半ドンの土曜日ならいいが、6時間授業の平日は学校のトイレの個室を利用するしかない。
別に利用すればいいのである。しかし、当時の小学生にとって学校のトイレでババをするのはとてつもなく恥ずかしいことという風潮があったのである。今はどうか知らないけれど。

あれほど出るのを渋っていたババが、一時間目の授業が始まれば決まってしたくなってくる。いちおう朝食は取ってくるし登校で運動もするし腸は刺激される。それだけではないみたいで。
黒板の文字を注視する。つまり視神経を使う事も直腸の神経を刺激するのかもしれない。
一時間目はひたすら辛抱するしかない。
二時間目が始まるわずかな休憩時間が勝負となる。トイレは各階に一ヶ所、男子用の個室もその一ヶ所だけである。便器取りゲームになってもおかしくないが、なぜか個室には誰も入らない。
入ろうと思えば入れるが、小便に入ってくる生徒もけっこういて、誰かに見られそうだ。

作戦は始業のチャイムが鳴ってからである。生徒が着席を始めて、先生が教室に入るまでの1~2分の間に全てヤり終えるのだ。

不思議なのは他の生徒はなぜ個室を使わなかったのだろうか?
同窓会で聞いてみた。
みんな下校まで辛抱していたそうだ。