『中村敦夫の地球発22時』というテレビ番組があった。
当時の若者のトレンドなどにスポットを当てる番組で、けっこう際どいネタにも切り込んでいた。告発とかのスクープではなく、当事者に接しながらその実態を探ってゆくので、ありのままをよく捉えていた。
人気番組であったが、何かの都合で一時間遅くなった。
『中村敦夫の地球発23時』に。人気番組を動かすのは本来はタブーであるが、ここまではまだ良かった。ちょっと落ち着いてから寝るまでの楽しみであったから。

それがどういう訳か、19時に再度変更になった。ビデオがあるとはいえ、まだ帰宅していない人も多い。腰を落ち着けて視る時間ではなかった。
これに切れたのがキャスターの中村敦夫さんだった。「ベンチがアホやから」のプロ野球某投手のようなセリフを吐いて、結局は降板。
『地球発19時』のタイトルに落ち着いた。

しかし、番組内容は鋭く、「爆走バイク最前線」でローリング族のバイク少年を取り上げたりしていた。
当時の峠のヘアピンカーブは彼らとギャラリーの彼女らがひしめいていた。ここで最速を取って「峠のキング」になればモテた時代。完全なスピード違反であり、命懸けである。

このバイク少年、ケミカルジーンズを穿いていたのがテレビでもよくわかる。ヤンキーではなく、普通の少年であった。
今では峠の沿道は無人で、神社仏閣をトレンディーな若者が訪れているようだ。