ジャン=ピエールの霧の中の原風景

ジャン=ピエールの霧の中の原風景

こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

私にとって味覚とは思い出です。

周りの雰囲気。

一緒にいる人。

シェフやギャルソン・ソムリエの眼差しや笑顔。

そして作り手のこだわりと情熱。

ブリュッセルやブーローニュの森の中にひっそりと佇むシックなレストラン。
ドーヴィルの路地裏にあるバーや漁師町マルセイユの本物のブイヤ・ベース。
トリノのバールやヴェネツィアの立ち呑み居酒屋。
ブルターニュのプレサレやオマールの鬼殻焼きをだしてくれる一見寂れたレストラン。


日本でもそういう雰囲気を感じさせるお店を紹介していきたいです。
私の味の思い出がお伝えできたら嬉しいです。

ホテルブエナビスタに戻る途中で素敵なサロン・ド・テを見つけた。

ヴィクトリアンカフェ「MARIE's Cafe(マリーズ カフェ) 」である。



紅茶はニューヨークのブランドハーニー&サンズを使っていた。
せっかくなのでそのこだわり紅茶の中から、ミルクティー用にケニルワース・セイロンを、ストレート用にヴィクトリアン・ロンドン・フォグを注文した。
1つはスコーンセットにしてミルクティーに合わせる。


ケニルワース・セイロンはやはりミルクティーとして飲むのに最適だった。
ミルクティーは当然上流階級式ではなく、ブルーワーカー式の飲み方にする。
最初に常温のミルクをカップに入れ、砂糖を入れて溶かし、その上から熱い紅茶を注ぐ。
偶然あのロブション氏も同じ考え方だったが、これがミルクティーとして一番美味しい飲み方だと思う。


スコーンは大きすぎることなく、貴族の家で出てくるような大きさのものだった。
しっかりとクロテッドクリームと黒スグリのジャムが添えてあった。


ヴィクトリアン・ロンドン・フォグには、飲むアップルパイを合わせた。
ヴィクトリアン・ロンドン・フォグは、アールグレイと烏龍茶をベースにラベンダーとヴァニラが香るブレンドになっている。
ロンドンの街にかかる霧をイメージした紅茶でまろやかな味わいとミルクティーのような芳醇な味わいは癖になりそうである。


これに不思議な味わいの飲むアップルパイがよく合うのだ。


中はミルクがベースでシナモンやアップルの味わいが楽しめる。
加えてこの店の魅力的なところは給仕役の男性が年配だがスマートなジェントルマンで、実に素敵なサービスをしてくれる。
地元のマダムたちは皆メロメロだろう。






お腹は一杯だったのだが、どうしても食べなくてはいけないものがあった。
竹風堂の栗おこわである。


栗おこわは単品では頼めないので、必然的に山里定食をお願いすることになる。
流石に栗おこわは小盛りにしてもらったが。


なぜ竹風堂の栗おこわを食べる必要があったかというと、昨日食べた桜井甘精堂の栗おこわと味を比べたかったからである。
実際桜井甘精堂の栗おこわは、数は少ないが大きな栗の粒のまま入っていて栗に甘みを効かせている。
竹風堂の栗おこわは、栗自体に甘みをあまり加えていないので栗の風味を強く感じることができる。
また、栗を砕いてあるので、その分量が多いように感じられる。
どちらも個性が感じられ甲乙つけがたい。


副菜も沢山添えられていたが、いかんせんお腹が一杯だった。


信州味噌を使った味噌汁も


むかごもうまいのだが一


しかし、甘いものは別である。


抹茶アイスはやや抹茶の濃さに満足できなかったが、栗餡は流石の美味しさだった。


やはり竹風堂の喫茶室はいいのである。
ホテルブエナビスタを早めにチェックアウトし、美ヶ原温泉の翔峰に向かった。


翔峰は立派な温泉旅館で、天井が高く中も広い。


綺麗な花が生けてあったし、


テラスからの景色が素晴らしかった。
お風呂もとても広く、露天風呂も立派でいいお風呂につかることができたのだ。


翔峰からの帰りにそば処種村で昼ご飯を食べることにした。


この店の蕎麦は凄かった。
何と開田早生と開田高原の幻の蕎麦御嶽極白の食べ比べなんかができてしまう。
こんな蕎麦を食べさせてくれるのは長野広しと言えどここくらいのものだろう。


その食べ比べのセットが届いた。
最初は何もつけず、その次は塩で、最後は蕎麦つゆでいただく。


どちらもべらぼうに美味しいが、特に白い方の御嶽極白の味わい、喉越し、香りのバランスの良さは別格だった。


十割蕎麦の蕎麦定食もいただいた。


蕎麦の香りが凄い。


副菜の茸と鴨肉が入った蕎麦の実の雑炊、葛で固めた蕎麦豆腐、漬物も素晴らしい。


野沢菜も自家製の本物を出してくれた。


十割蕎麦と一緒に端の部分を添えてくれた。
これに醤油を少し垂らして食べるとたまらないのだ。


蕎麦つゆは2種類あり、枕崎本枯れ節雄節を使ったであろう香りつゆと宗田節、鯖節、利尻昆布を使い甘みを出した旨みつゆが提供される。
蕎麦湯は濃すぎることなく、薄すぎることない理想的な加減のものであることも心憎い。


この店の蕎麦は私が食べた中では長野県ではトップレベルではないだろうか。


ライバルは、茨城県笠間泰然の発芽蕎麦と栃木県足利蕎遊庵の生一本と昨年12月に200年の歴史の幕を閉じた佐渡島七右衛門の茶碗蕎麦だろうか。

第一興商飲食部DKキッチンが運用している楽蔵うたげ松本駅前店に芹鍋を食べに行った。
まずは、徳之島の山に自生する野生の島みかんシークニンをスカッシュにしたものを頼んだ。


鍋の用意が早くもなされた。
鴨肉と、


天然芹を中心に、その他の野菜やツミレやキノコがスタンバイされていた。


よく見ると芹の根の部分がない。
当初料理担当者が見栄えが悪いので、芹の根を捨てていたらしい。
捨ててしまっていたものを救出してもらい、洗ってすぐに再度出してもらった。
芹の根は極めて美味しかった。
これを食べに来たのになかったら大惨事だった。


根を取って残った芹も全て食べてしまった。


山賊揚げは良くできていた。
しかし、脂っこいので、沢山は食べられない。


1つ不満があるとすれば、焼き鳥の塩が効かせすぎていたところだった。
後で長野県出身者に聞くと長野県民は塩気の強いものを好む傾向があるらしい。
それでも、あまりにも塩の振り方が強く塩辛かったので、焼き鳥は全て鍋の中に放り込んだ。


店長らしき方は、常に気を配ってくれて、いいサービスをしてくれた。
ここはビックエコーの第一興商が経営しているお店だと聞いて少し驚いたのである。
長野駅から松本駅まで特急に乗って向かった。
車窓からの連峰の景色が最早素晴らしい。


松本駅に着き、送迎バスに乗って、宿泊先のホテルブエナビスタにやってきた。


暖炉が温かい。


エグゼクティブルームの宿泊だったので、エグゼクティブフロアーにあるラウンジで、一息ついた。
林檎や桃のストレートジュースが飲み放題だった。
コーヒーも美味しい。


ケーキもできあいではなく、ホテルオリジナルのものだと思う。
安曇野のストレートトマトジュースも美味しかった。


キャラメルポップコーンやナッツ類も好きなだけ食べられる。


翌日は朝食会場でビュッフェ形式の朝食をとった。


今から考えれば、エグゼクティブフロアー対応のルームサービスの朝食にすれば良かったかもしれない。



蕎麦や信州味噌の豚汁や味噌汁は美味しかったが、ご飯が軟らか過ぎて美味しくないし、ジュースはできあいの普通の既製品でエグゼクティブサロンでのようなストレートジュースはない。
オムレツを作る年配の料理人は愛想が悪く、これではオムレツが美味しく感じられるわけがない。


おやきや山賊揚げはそれなりに食べられたが、既製品のデザートなど酷いものだった。


蕎麦や


豚汁はどうにか食べられたが一


次回の朝食は、絶対にエグゼクティブフロアー対象のルームサービスにしたいと思った。