ラジオの音を下げて ダリダ
今回は、人気歌手でもヒットしない歌はあるというお話だ。
ダリダ(Dalida)が1966年にリリースした "Baisse un peu la radio"(ラジオの音を下げて)は、ぜんぜん売れなかった。
これは、ダンスホールで若者たちが踊るナンバーになるだろうと発売したのではないかと想像する。
元歌は、1966年のサンレモ音楽祭でカテリナ・カセり(Caterina Caselli)が歌った"Nessuno mi puo giudicare" だ。音楽祭から3か月後という早業のカヴァーだった。
プロデューサーなどの関係者は、サンレモのカテリナ・カセりを観て、ダリダに歌わせたらヒットすると思ったのでだろうが、そういう当てに行った時に限って大衆は見向きもしないことがある。
原因は、アレンジにもあるが、歌詞もパッとしなかった。
「朝5時で、まだ寝ているから、ラジオの音をもう少し下げて。」の後で、クリストフ、クロード・フランソワ、シェイラ、ビートルズなどの歌手の名前をあげて、「みんな好きな歌だけど、いつになったら歌は終わるの?眠れないじゃない。」というようなティーン・エージャーの戯言のような内容の無い歌詞だった。
ダリダ・ヴァージョンは、残念ながら売れなかったが、それから8年後、1974年にリシャール・アント二(Richard Anthony)が歌詞を変えて、"Amoureux de ma femme" としてカヴァーすると、今度は大ヒットした。
歌詞とアレンジがその時代にマッチすれば、同じ歌でも売れるという、今回は、そういうお話だ。
出典: 2021.03.09. RTL