セーヌ哀歌 Complainte de la Seine 

リス・ゴーティ Lys Gauty

 

Complainte de la Seine(セーヌ哀歌)は、クルト・ワイルがパリ滞在中に作曲したもので、歌詞はモーリス・マグルが書いた。

(注)Complainteとは、中世フランス・プロヴァンスの抒情詩の一種で、日本語では哀歌(あいか)、悲歌(ひか)、嘆き歌(なげきうた)と訳される。

 

Au fond de la Seine  セーヌの底には
Il y a des morts.     死がある
Au fond de la Seine  セーヌの底には
Il y a des larmes.    涙がある

 

今は華やかで、人々が集い、美しい樹々や光が煌めくパリだが、フランス革命やパリコミューンなどで多くの人が犠牲になった歴史がある。フランス人は、自由や平等を無償で手に入れたわけではない。セーヌの底には、夢半ばで亡くなった無念な人々の身体だけでなく、魂(精神)も沈んでいる。

 

フランス人の革命記念日への想いは、そうした人々の尊い犠牲を忘れずに、自由・平等の歓びや誇りを抱きながら、今日まで続いて来た。

日本人が「革命記念日」の祝日を「パリ祭」と名付けて、シャンソンの祭典にしてしまっているのは、少し違和感を感じざるを得ない。