シャンソンを歌い、女優として映画に出演、ファッション雑誌の表紙を飾るなど、全世界の女性の憧れだった二人が相次いて亡くなった。

ジェーン・バーキンとフランソワーズ・アルディだ。

二人は似ているようで、一つ決定的な違いがあった。

それは...

 

 

ジェーン・バーキンが家事はお手伝いさんに子供はベビーシッターに任せて、セルジュ・ゲンズブールと夜中に遊び回っていた、つまり生活感が無かったのに対し、フランソワーズ・アルディは、家ではキッチンに立ち料理をしていた、つまり地に足のついた家庭生活があった。

 

安井かずみは、著書「旅の手帖」の中で、次のように書いている。

 

女優であろうと、女大臣であろうと、キッチンをするフランスの女は、だから完璧に女なのだと、その時、理解しはじめたのだった。

 

 

安井かずみも若い頃は加賀まりこやコシノジュンコらと遊び廻っていたが、加藤和彦と結婚してからは、家に呼んだ友達に料理を振る舞うようになって行った。これは、ジェーン・タイプからフランソワーズ・タイプへの進化だったと思う。完璧なフランス女を知ったからだったに違いない。