もう森へなんか行かない

フランソワーズ・アルディ

 

このシャンソンの原題は、"Ma jeunesse fout le camp…"

で、そのまま訳すと「私の青春は逃げ去る」となる。

それで、どうして別の題名が付けられたかと言うと、"Nous n'irons plus au bois"(もう森なんか行かない)という歌詞がルフランで繰り返されるからだ。

 

実は、この "Nous n'irons plus au bois" というフレーズは、フランスでよく知られている。18世紀にできた童謡で今でもよく歌われている。しかも、あのポンパドゥール夫人がグレゴリオ聖歌に自ら歌詞を付けたと言われている。

 

一方、"Ma jeunesse fout le camp…" の方は、ギイ・ボンタンペリ(Guy Bontempelli)が作詞・作曲したが、フランス人作家なので、当然上記の童謡は子供の頃歌っていたはずで、歌詞に取り入れたのではないかと思われる。

 

ともかく両方とも(童謡もシャンソンも)、「もう森に行くことはなくなった」という喪失感を表現しており、寂しいトーンで淡々と歌うフランソワーズ・アルディにぴったりなシャンソンとなっている。代表作の一つだ。

この手の喪失感は日本でも受けがよく、日本語歌詞でもよく歌われている。