歌詞のアクセントは、いつ頃から本来の言葉のアクセントから乖離していったのだろう?
今回は、「海」を採り上げる。
海の標準語アクセントは、「う」の方が「み」よりも強い。もし、逆になれば、「膿」になってしまう。
文部省唱歌の「海」では...
海は広いな大きいな で、
「うみ」の「う」にアクセントがある。音階も「う」の方が「み」よりも高い。つまり、標準語アクセントどおりだ。
加山雄三の「海その愛」の「海よ、俺の海よ」も、
松本隆の作詞の近藤真彦の「ハイティーンブギ」の「海辺にバイクを停めて」も、
同じく松本隆で松田聖子の「赤いスイートピー」の「春色の汽車に乗って 海に連れて行ってよ」も
「うみ」の「う」にアクセントがある。音階も「う」の方が「み」よりも高い。つまり、標準語アクセントどおりだ。
さすがに「膿」は歌には相応しくないので出て来ないのかな?と油断していると一つ見つけた。
稲垣潤一の「夏のクラクション」(1983年)の冒頭、「海沿いのカーブで」の「うみ」の「み」にアクセントがある。音階も「み」の方が「う」よりも高い。つまり、「膿」だ。
売野雅勇の作詞なのだが、松本と売野は2歳しか違わない。
アクセントを気にするかどうかは、作詞家によっても楽曲によっても違ってくるのかもしれない。