J'attendrai   待ちましょう

Rina Ketty   リナ・ケティ

 
この歌は、いかにもフランスの歌のように聞こえるが、実は、元は Tornerai(フランス語訳は Tu reviendra)というイタリアの歌で、それにルイ・ポトラ(Louis Potera)がフランス語歌詞を作り、イタリア生まれのリナ・ケティが歌った。(1938年リリース)
そういう意味で、かなりイタリアンなシャンソンと言える。
そして、間もなく第二次世界大戦が始まったことから、戦地に夫や恋人を送り出した女性たちの間で好んで聴かれるようになり、フランスのみならず、ヨーロッパ中で大ヒットすることになった。
このヒットは、レコード会社も歌ったリナ・ケティ自身も予想しなかったことだと思われる。まさに瓢箪から駒、である。
 
戦後は、いろんな歌手がカヴァーしたが、私の印象に残っているのは、1975年にダリダがディスコ・ヴァージョンで歌ったものだ。戦後30年が経過し戦争の傷も癒えて、このシャンソンは本来の男女の恋愛の歌に先祖帰りしたと言える。キラキラしたロングドレスで、少しステップを踏みながら爽やかに歌うダリダには、戦争未亡人の影はみじんも感じられなかった。
敢えてリナ・ケティと共通点を見つけるとすれば、イタリア系であることくらいだった。