今のシャンソン界は、二つの意味で「やさしすぎる」。
これについて説明します。
一つ目は、歌手に対して優しすぎる。
趣味で歌っている人はどんな風でも構わないが、いざお金を取って（チケットを売って）ステージで歌うのならば、それなりのシャンソンに仕上がっていなければならない。
下手なものはどこが悪いか指摘する。良いものは褒めて伸ばす。お店の人や先輩歌手がそういう点をもっと真剣にやっていかないと、早晩全体が駄目になる気がする。
二つ目は、歌うことが易しすぎる。
歌いたい人は誰でも歌える場所がある。オープンなことは一見良いことのように思えるが、本当にそうだろうか？
私は、音程やリズムが外れて聴くに堪えないようなアマチュアの歌に出逢わないよう細心の注意を払っている。少しでもその可能性がある場所には近づかない。それよりも、心から賞賛できる歌手に出逢いたい。気持ちが洗われるような歌声を聴きたい。いつもそう思っている。
誰にでも安易に歌える場所を提供してしまうと、シャンソン界全体の歌のレベルが落ちてしまうのではないだろうか。
