僕たちの世代(昭和30年前後に生まれ)の男子にとって、プロ野球やプロレス、鉄腕アトムや鉄人28号などのアニメ、そしてウルトラマンやゴジラが小学生時代の大好きなものだった。

そうした僕たちに、突如として加山雄三が「君といつまでも」を歌いながら颯爽と現れた。

テレビで観たのではない。映画で観たのだ!

どうやって?

 

 

それは、当時の東宝映画は2本立てだったことに拠る。

 

昭和40年の「怪獣大戦争」は、ゴジラ、キングギドラ、ラドン、モスラなどが全部出て来るということで、絶対に見逃せない映画だった。その併映が「エレキの若大将」で、主人公の田沼雄一(加山雄三)が澄ちゃん(星由里子)に弾き語りで「君といつまでも」を歌ったわけだ。

 

世話好きのウチの母は、僕たち兄弟だけでなく、近所の子供まで引き連れて映画館に連れて行ってくれたのだが、今考えてみると、加山雄三が目当てだったのかもしれない。

映画の後で、京南大学は慶應のことで、東京周辺のボンボンが行く大学で、加山雄三は慶應ボーイの代表なのだと教えてくれた。

子供心にどうも東京にはケイオー大学というのがあって、カッコいいお兄さんたちが楽しくスポーツや音楽をやっているという良いイメージが植え付けられた。

私の将来の進路に重大な影響を与えたのは、この映画だったと言っても過言ではない。

 

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