H2Oの「想い出がいっぱい」ではないが、大人の階段をのぼっていったのは、一般的な少女だけではなかった。

アイドルもそうだった。

桜田淳子の場合は、阿久悠がシングル1曲ずつに少女の大人への成長を書き綴っていった。

山口百恵の場合は、千家和也がいきなり大人になりたい少女を描いたが、阿木燿子はステップを踏んで大人の女性に成長する姿を描いていった。

ところが、松田聖子の場合は、違った。

 

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松本隆は、ずっと少女の姿を描き続けた。付き合っている彼らしき男は出て来るのだが、少しも恋愛は進展しない。

「風立ちぬ」で一度失恋して、「瞳はダイヤモンド」で二度目の失恋をするが、どういう風に恋愛して、どういう理由で別れたかが判然としない。都会的でさらっとカラッとしていて、ジメジメしたところがまったく無い。

それでも、「赤いスイートピー」では手も握らなかった彼が、「天国のキッス」では抱きしめられて気が遠くなるという進展は見せる。ただ、いつも野外で室内のベッドやシャワーなどのセックスを暗示する言葉は一切使われない。

少女は大人にならないままで松本隆は作詞家の座を下りた。

 

 

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