今では違っているが、嘗ての清純派アイドルは服を脱ぐことで文字どおり大人の女に脱皮しようとした。

小柳ルミ子は、映画「百蛇抄」でヌードを披露した。ヒット曲にめぐまれない状況が続いていたとは言え、アッと驚いた人は多いことだろう。

その年にリリースした「お久しぶりね」は文字通り久しぶりのヒットとなったが、脱いだ代償は大きかったと思う。

 

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なぜなら、ファンの男たちは皆小柳ルミ子のことを「美しい身体を持つ女」と捉えるようになり、写真集などで映画よりももっと過激な姿を見せてくれないかと期待するようになり、彼女の歌をゆっくり鑑賞するどころでは無くなってしまったからだ。

一方、女性ファンは、自分が努力しても手に入れられそうにない美しき肢体を見せられて、男の視線を奪う自分たちの敵対的な存在(少し大袈裟だが)に転身したと捉えた人も少なからずいたはずだ。

それは、歌は無理でも、姿かたちは努力すれば近づけるかもしれない松田聖子が一種のロールモデルとして長い間女性に人気があったのと正反対の現象だと思う。

彼女は歌も踊りも上手なのだから、ミュージカル女優に転身するとか、他に何か方法は無かったかと思うと、残念でならない。

 

 

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